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2019.10.24

ファッション

1本2000万円!? 世界でいちばん高価なヴィンテージデニムの話

オーシャンズが11月2日(土)に開催するデニムイベント「OCEANS DENIM CAMP(オーシャンズ デニム キャンプ 2019)」。“年に一度はデニムをはきかえよう”をスローガンに掲げたイベントまで、デニムにまつわるスペシャルコンテンツをお届けします!
普段ばきできる1本から博物館級のお宝まで、ヴィンテージデニムの価値(=お値段)はピンからキリまで。では、そのお宝のなかでも過去最高をマークしたモデル、そしてその金額は!?
なかなか聞くに聞けない「今までいちばん高かったデニム」の話。多くのヴィンテージデニムを取り扱っている古着屋「ベルベルジン」のデニムアドバイザー、藤原裕さんにズバリ聞いてみた。
第1回:「ヴィンテージデニムの値段の推移と景気の関係」を読む。
藤原 裕(ふじはらゆたか)●1977年、高知県生まれ。原宿の人気古着ショップ「ベルベルジン」のディレクターを務める。豊富なヴィンテージの知識をベースに、ヴィンテージデニムアドバイザーとして、他ブランドとのコラボなども行う。 2015年3月にリーバイスの501XXの歴史と51本のヴィンテージジーンズの写真や資料を収録した書籍『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』を上梓。
──ブームの頃に100万、200万円なんて価格のものが雑誌の誌面を賑わせたおかげで僕たちも“抗体”がついていますが、実際、今まででもっとも高値で取引されたデニムって何ですか?
藤原 サンフランシスコのリーバイス本社のアーカイブに所蔵されている最初期のモデル(8年前に一度日本でもお披露目された)には何万ドルもの価値があると言われていますね。それはあくまで聞いた話なので、ここでは僕の周囲で実際に「動いたモノ」の話をしましょう。
昨年監修させていただいた、501XXの本*1 のトップを飾った、1890年代の通称“ワンポケ”と呼ばれる初期の501*2 です。その出合いは8年前でした。当時、話でしか聞いたことのなかった現物が出てきたときに、お店で取り扱いたいと所有者に値段交渉をしたのですが……。
*1 『THE 501 XX A COLLECTION OF VINTAGE JEANS』(ワールドフォトプレス刊)。こちらにも現在はプレ値がついている。
*2 ベルトを締める習慣のなかった時代のためベルトループを装備せず、サスペンダーボタンとシンチバックが付属。もっとも特徴的なのはアーキュエイトステッチを施したお馴染みのバックポケットが、右だけに取り付けられている点。
──501のワンポケはLVC(リーバイス ビンテージ クロージング)から復刻モデルが出ていますよね。その実物が市場に出るなんてことがあるんですね!
藤原 そうなんですよ。お店の売値として500万円を考えて交渉に挑んだのですが、所有するコレクターの方と折り合いがつかず。断念したところを川又君(501XXの本の共著者、川又直樹氏)が個人的に手に入れました。個人なので価格は言えませんが。
それだけでもセンセーショナルなことなのですが、そのワンポケがもう1本、LAで所有するコレクターの方がいて、その交渉もしました。先ほどの個体よりもう少しコンディションが良かったので700万円の売値ならと思ったのですが、やはりこちらも金額面で折り合いがつかず……。それが去年、日本に入ってきたという噂があったんです。
1915モデル。今は300万のプライス。
 
──そんな稀少中の稀少モデルが日本に2本もある!? いやはやスゴい話ですね……。
藤原 非常に稀少なヴィンテージデニムは、実はその半数が日本に存在していると言われていますからね。で、その噂の1本を調べたら確かに僕がLAで交渉した個体だったんです。手に入れたのは業界でも有名な方ですが、売買された値段は何と1000万円! もう絶句ですよ。
過去、ベルベルジンで1922年モデルのデッドストックが750万円で売れたことがあり、それが僕の経験した最高値だったのですが、ついに1000万円が出てしまうとは……。フェアかどうかは別として、それで相場ができてしまったわけです。

──え~っと、ジーンズ1本の金額ですよね(汗)。名実ともに最高値が出たと。ところで年代が古ければ古いほど高値がつくのですか?
藤原 年代の古さだけではなく、コンディションの良し悪しも価値を左右する要素ですね。先ほどの話にあった1890年代のワンポケよりも若い年代、たとえば1901年や1905年、1915年などのモデルでデッドストックがあればもっと高値がつくでしょう。それらが存在しているというのは噂でしか聞いたことがありませんが、一説によると2000万円の値がつくだろうと言われています。
──もう完全に金銭感覚がマヒしてきました(笑)。こういう稀少なモノが出てくる可能性って今後もあるんでしょうか?
藤原 もちろんです。まったく予期せぬ場所で発掘されることもあり、それが歴史を変えてしまうことも……。
 
藤原さんに教えてもらった、デニムの最高価格のお話。含みのある藤原さんのコメントの続きは次回。また、こうしたヴィンテージデニムにまつわるトークショーを、11月2日(土)の「OCEANS DENIM CAMP」でしてもらいます!
 
志賀シュンスケ=写真 實川治德=取材・文


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