働き盛りのオーシャンズ世代にとって、睡眠の質を上げることは最大の関心事のひとつ。限られた時間でどうすれば深く眠ることができるか?
マットレスや枕、アロマ、音楽、サプリなど、実にさまざまな手段があるが、睡眠中の寝返りもまた、睡眠の質を大きく左右する重要なファクターなのである。医療用ベッドの世界的ブランド、パラマウントベッドが誇る睡眠研究員、椎野俊秀さんはこう語る。
| 教えてくれるのは…… パラマウントベッド睡眠研究所 椎野俊秀さん 1981年、東京都生まれ。電動ベッドの技術職を経て、2015年、睡眠の研究や技術開発などを行うパラマウントベッド睡眠研究所に。主幹研究員として活躍中。多忙な日々を過ごすが、等反発ベッドのおかげで毎日熟睡とか。 |
|
「そもそも寝返りにはいろいろな役割があるんです。まずは、体を動かすことで全身に血液や体液の循環を促すこと。同じ姿勢で寝ていると、血液や体液が滞留してしまうため、腰痛や凝りの原因となります。また、カラダとマットレスの間に溜まった熱を逃がすことで、体温を調節する効果や睡眠中に交互に繰り返すレム睡眠とノンレム睡眠の移行を円滑にする役割もあると考えられます」。
だから人は寝返りを打つわけだが、問題はそのときに目が覚めやすいという事実。たとえば、マットレスが深く沈み込む低反発タイプだと、寝返りに不自然な力が入ってしまう。とはいえ、硬すぎる高反発マットレスは寝返りのときの刺激が強く、熟睡できない。
「そこで我々がたどりついたのが『等反発』なんです。たとえば、テニスのラケットやゴルフクラブなどは、ボールが当たる面をボールと近い弾力性にすると、エネルギー伝達の効率が最大限に高まり、強いショットを打つことができます。この理論を応用して、マットレスを人体の筋肉と同じ硬さに設定しました」。
実際にパラマウントベッドの等反発ベッドに横になってみると、はっきりと違いがわかった。軽く寝返りの動作をするだけで、びっくりするほどスムーズに寝返りが打てるのだ。ちなみに腰痛持ちの人は寝返り時に無意識に腰に力を入れるため、痛みで目が覚める、なんてこともあるから、等反発ベッドがおすすめとか。
『悪い奴ほどよく眠る』という黒澤 明監督の映画があるが、「寝返る奴ほどよく眠る」のである。夜はどんどん寝返って、毎晩爆睡しよう。仕事では寝返るなよ!!
押条良太(押条事務所)=編集・文