音質の差は歴然。モバイル利用ではデータ消費に要注意
アップグレードする前に、これまでの標準音質とHD音質を聴き比べてみたが、いうまでもなくその差は歴然。3万円程度で購入した格安AndroidスマートフォンとBluetoothイヤホンの組み合わせで聴いても、標準音質では聴き取れなかった音が、ハッキリと聞き取れるようになるほか、音の広がりも明らかに変わる。一度HD音質に慣れてしまうと、標準音質にはちょっと戻りたくない感じだ。
一方、ULTRA HD対応まで行くと、やはりスマートフォンではHDと比べて大きく変わる、というまでには至らない印象。
こちらに関しては、ハイレゾ対応のDACを使ったPCオーディオや、Amazon Music HD音源を直接再生できるオーディオ機器(HEOS対応機種)向けと考えても良いだろう。ちなみに、アマゾンのスマートスピーカー「ECHO」シリーズもAmazon Music HD対応となっている。
月額1780円といえば、ちょっとお高く思えるかもしれないが、実際にはCD1枚にも満たない値段。それで6000万曲以上が聴き放題になると考えれば、音楽好きなら十分コスパに優れているといえるのではないだろうか。
1点だけ注意があるとすれば、スマートフォンを使い外出先でHD音質、またはULTRA HD音質の楽曲を聴く場合。標準音質に比べ、HDなら1曲あたり5倍くらい、ULTRA HD音質なら十数倍以上のデータ量を消費してしまう。
モバイルデータ通信だけで利用すると、すぐにギガを使いつくしてしまうのは確実。また通信環境によって、特にULTRA HD音質の楽曲は再生が途切れがちになってしまう。
データ消費を防ぎ、スムーズに音楽を楽しみたい場合は、ストリーミングサービスならではの手軽さが損なわれるが、Wi-Fi環境で、事前に楽曲をダウンロードしておくとよいだろう。
折しも、次世代通信規格「5G」の本格的国内導入が目前に迫るなか、ハイクオリティかつ手軽な音楽ストリーミングサービスは、コンテンツ業界の未来図を知る上でも重要な存在となるはず。懐かしのサウンドから最新ヒットまで、音質にこだわりたい音楽好きはもちろん、ビジネス上の参考知識としても、今回のAmazon Music HDは、要チェックの存在となるはずだ。
石井敏郎=文