100万人vs300人の戦い! 映画『300』に見る男の美学
──やっぱりちょっと男くさい、スリルのある映画が好きなんですね。平山 結局ね(笑)。そういう意味で言えば、これもNETFLIXにはないけど、『300(スリーハンドレッド)』っていう映画も本当に好きで、DVDも持ってるから今もたまに観ます。言ってみれば男と男の肉弾戦みたいな作品ではあるんだけど、自分たちが不利な状況でも、いかに怯まず戦うかっていう“覚悟”をテーマにした映画ですね。
話の舞台は紀元前のペルシア戦争で、100万の軍勢で侵略しにくるペルシア帝国を相手に、スパルタ軍が自分たちの家族や土地を守るために、わずか300の軍勢で迎え撃つ、って話です。
形勢は圧倒的に不利なんだけど、なんとか頭を使って、戦う場所や戦略もいろいろ考えて果敢に戦っていくんですよ。最終的にはもちろん負けるんだけど、その散りゆく姿が美しいというか、男の美学を感じて鳥肌モノです。
──“散りゆく男の美学”みたいなものは、『ラストサムライ』とかにも通ずるものがありますね。平山 そうね。『300』にもちょうど愛する奥さんとの別れのシーンもあるんだけど、そこがまた切なくて、でも勇ましくていい。映画はほぼ全編、背景とかがCGで作られているんだけど、人間の力というか、役者の演技力の凄みはちゃんと伝わってきます。
ジャンルで言えばアクション映画だけど、そこにはすごく切ないドラマが入っていて、そのギャップがちょっと泣けちゃうのかな。あんなにゴリゴリのマッチョな人たちだけど、その中身はすごく優しくて、そこに人間味が垣間見えるんですよね。
最後は主人公の男気とリーダーシップが全面に描かれて終わるんだけど、そこも泣けるんですよ。俺は役者として肉体派的な役をもらうことは多いから、『300』のような、男のリーダーシップを描いている作品や出演俳優っていうのはどうしても気になってしまうんですよね。
300(2007)監督|ザック・スナイダー 出演|ジェラルド・バトラー。フランク・ミラーのグラフィック・ノベルを基に、スパルタの兵士300人が100万ものペルシア軍と戦う様を描いたアクション超大作。色彩のバランスを操作し、独特の質感になるよう画像処理を施した美しいCG画像とともに、屈強な男たちの肉体美も見どころ。
ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドは平山祐介の理想像
──そういえば祐介さんのスマホの待受画面って……平山 そう、ジェームズ・ボンド(笑)。ダニエル・クレイグの『007』は俺の教科書みたいなもんです。本当に好き。理想の男像ですよ。むちゃくちゃカッコいいし、セクシーですよね。
──もともと祐介さんは『007』シリーズのファンなんですか?平山 いや、そうではないんです。“ダニエル・クレイグの『007』”だけのファン。個人的にクレイグ以前の『007』作品はファンタジーだと思っていて、「カッコよくて女にモテる」だけで、特に男として見習いたいものがあるわけじゃない。
ダニエル・クレイグの演じるジェームズ・ボンドは、エージェントとしての苦悩が見えたり、人としての弱さが垣間見えたり、ちゃんと弱点もある。でも、決めるところはズバッと決める。その決め方が男らしいんですよ。
──クレイグの演じるジェームズ・ボンドは、たまにコロッと敵に捕まったりして、それが頼りなかったりもしませんか?平山 トム・クルーズの『ミッション・インポッシブル』の強さとダニエル・クレイグの『007』の強さは違う気がしますね。
トムが演じるイーサン・ハントは絶対に負けないし、あれはあれで大好きなんだけど、ジェームズ・ボンドは負けそうになる、っていうか実際に負けたりするし、そういうところがまたいいんですよね。昔の女のことを引きずったりもするし、そのへんにも男くささというか、リアルさを感じます。
007 カジノ・ロワイヤル(2006年)
出演|ダニエル・クレイグ。イギリス秘密情報部 (MI6)の工作員、ジェームズ・ボンドを主人公にしたスパイ小説の映画版。今作より6代目ジェームズ・ボンドに就任したダニエル・クレイグは、これ以降、『007 慰めの報酬』『007 スカイフォール』『007 スペクター』と4作品でボンドを演じているが、監督は毎作品ごとに変わっている。2020年にはクレイグの『007』としては最後となる作品が公開予定。
清水健吾=撮影 勝間亮平=ヘアメイク ぎぎまき=文