松重 豊さんに心配されるほど泣いた小説の映像化作品
──ほかに泣いた記憶がある作品はありますか?平山 『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』とかですかね。これは映画もいいんですけど、リリー・フランキーさんの原作を小説で読んだときは特にヤバかったですね(笑)。
いつものごとく、時間つぶしのために撮影現場で読んでたんですけど、周りに俳優さんがたくさんいるのに、やばいくらい泣いちゃって。その時ご一緒してた、あの松重 豊さんからも「どうしたの? 大丈夫?」って心配されたほど(笑)。
──どのあたりに感動してそんなに泣いたんですか?平山 どこで泣けたかなんて挙げたらキリがないんだけど、親の猛反対を押して会社勤めを辞めて、モデルや俳優を志した自分と主人公とがリンクしちゃったんだろうなぁ。たまに会う親との距離感とか、自分への言い訳の内容とかね。
帰りの電車でも続きを読んでたんですけど、電車内でもえずくくらい泣きました。あれは今思い出してもやばかったですね。当時はまだリリーさんも今ほど有名じゃなかったから、「このリリー・フランキーって人、勘弁してよー」って思いましたね(笑)。
東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜(2005)
監督|松岡錠司 原作|リリー・フランキー 脚本|松尾スズキ 出演|オダギリジョー、樹木希林。ベストセラーとなったリリー・フランキーの自伝小説を映画化。父親に手を焼いていた母親は、女手ひとつで幼い息子を育て上げる。美大に通うため上京した主人公は、罪悪感を感じながらも自堕落な生活を送る日々。数年後、仕事が軌道に乗り始めたときにオカンのガンが発覚する。
悲しい出来事に泣くのは辛いことだが、琴線に触れる作品に心がかき乱されるのは、時に気持ちのいいものだ。次回は空手家の祐介さんでさえガクガクブルブルした「背筋が凍った映画」を紹介しよう。
清水健吾=撮影 勝間亮平=ヘアメイク ぎぎまき=文