OCEANS

SHARE

2019.09.19

ライフ

「海はみんなのもの」であるために 〜Beach for All 〜

ただくつろぐだけでも気持ち良い時間を過ごせ、サーフィンをした瞬間に人生は大きく変わってしまう。ひとつのシーンからそんな海の魅力を発見していくコラム。

今回は「Beach for All 」

豪州はじめビーチカルチャー先進国には海に「バリアフリー」という言葉は使われないといい、それこそ写真のように、誰もが海を楽しむ光景が当たり前のようにある。
海遊びをするためにビーチを目指す。普通に歩ける人ならいい。しかし車イスなど福祉用具が必要な人はどうか。実はこれまで、日本の海は「誰もが気軽に楽しめる」場所ではなかった。そのような施設、用具を用意する海が極端に少なかったからである。
しかし近年、障害のある人や高齢者が、安全で快適に海を楽しめるビーチが増えてきた。たとえば神奈川県鎌倉市の由比ガ浜海水浴場ではバリアフリービーチを開設。20軒ほどある海の家すべての間を行き来できる木製ボードウォークを設置し、誰もが利用しやすい状況にした。
また土日・祝日には水陸両用車イスのレンタルがあり、ライフセイバーが介助員として移動などをサポートする。車イス利用者でも波打ち際まで行け、太陽と海という自然の恵みを満喫することができるのだ。同様の環境は、茨城県・大洗サンビーチ、兵庫県・須磨海岸など各地に誕生。来年の東京パラリンピック開催も見据え、日本のビーチカルチャーは進化を遂げている。
memo
「誰もが一緒に楽しめるビーチ」作りの先駆けは茨城県の大洗サンビーチ。大洗サーフ・ライフセービング・クラブが中心となり、1997年から環境整備に努めてきた。現在は障害のある人向けの優先駐車場、更衣室、トイレ、シャワー施設、水陸両用車イスのレンタルを揃える。豪州はじめビーチカルチャー先進国には海に「バリアフリー」という言葉は使われないといい、それこそ写真のように、誰もが海を楽しむ光景が当たり前のようにある。

高橋賢勇=写真 小山内 隆=編集・文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。