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シンプルなデザインが裏打ちする非凡な才能

「盛るのは簡単なんです。丸紐に、メッシュで切り替えて、リフレクターをかまして、とやっていればなんとなく格好はつく。もともと僕はシンプルを好む人間だったのかも知れません。思い返せば留学時代印象に残っているのは、スキニーデニムをベルトなしではくスタイルでした。その潔さに惹かれました」。

シンプルなデザインというのは凡庸の隣り合わせだ。装飾を削ぎ落とせばつくり手の地力が白日のもとにさらされる。それでいてなお非凡な佇まいがあるのは、ひとえに廣本の才がメッキではなかったからだ。
「僕の好きなデザインは、一例を挙げるならばPierre Hardy(ピエール アルディ)。いってみれば、引いて引いて浮かび上がるラインの美しさが彼のコレクションにはある。最高に美しいと感じます。モノを見る目は会社員時代に養われました。そういう意味では感謝してもしきれません」。
あらためてサンプルに目を転じれば、そのすべてが有機的につながっていた。破綻のないラインで構成されたプロダクトは、ぱっと見はその理由がわからなくても、心に引っかかりを生む。

スニーカーフリークでもなんでもない。知識だって人並みですからと語る廣本は、謙遜ばかりではないように思えた。振り切ったデザインワークは、そんなところも影響しているのかも知れない。
現在のラインナップは12型。これまでにドロップしたモデルはほぼない。
「無理して(新作を)出そうとは思わない。出したいときが出すとき。そして出したからにはじっくり育てていきたい。そういうスタンスでやってきました」。
既存のブランドビジネスとは異なる方向性を模索する、廣本らしい選択だ。
モデル名は『きかんしゃトーマス』をネタ元にしているという。理由は「イギリスつながり。それと、子供がトーマス好きだったから(笑)」。
上の子は6歳に、お腹にいた子もすでに2歳になった。
[問い合わせ]
YOAK
https://store.yoaktokyo.com
HEMT PR 03-6721-0882

竹川 圭=取材・文


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