さらっと羽織るだけでガラッと変わる。モードなアウターには、それだけの威力がある。モード界、つまりファッションの最先端に君臨するトップデザイナーは、誰よりも服を熟知していて、既存の意味を解体し再構成しているから。
この服は超豪華でこそあるが、素材や作り以上に、彼らの究極の戯れを享受できる点でも贅沢なのだ。
「ジル サンダー」のコート
一枚羽織る狙いは、保温のためでもあるが、コーデの物足りなさを解決する手段でもある。軽やかなロングコートなら、着心地におけるストレスもないうえに、コーデに占める面積も広く、視覚効果は高い。
このステンカラーコートは、レーヨンにポリエステルを混紡したふわとろ素材で仕立てられ、そのドレープが風を視覚化してくれる。極言すれば、風が吹いてこそコーデが完成するといった感じ。同時に、背面にはロゴをプリントし、コンサバのアイコンアウターにハズし要素を与えた。この自由さがモードの真骨頂だと思う。
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