シャツは最もスタンダードなワードローブのひとつだけに、ちょっとした着方のアレンジで、大きな差が出るのも面白さ。
襟のボタンの開け方に、袖のまくり方。合わせる小物次第でも、印象は激変する。騙されたと思って、まずはお試しあれ!
ディテールの処理が印象を大きく左右する
「往年の銀幕のスターが、名作映画でこう着てた」とか、「アイビー由来の服だから、こう合わせなくちゃいけないんだ」とか、とかく男のファッションには魅力的なウンチクがたくさんある。だけど、我々がどれだけ理論武装をしたとしても、女性はそんな渾身のコーディネイトを一瞥して、「全然好きじゃない」なんて切り捨てたりする。
男性ウケと女性ウケは往々にして無惨にも反するものなのだ。彼女たちがロマンティックになるのは夜景の見えるレストランから夢の国がある舞浜駅の改札前くらいで、普段はリアリストと心得よ。そして、そうした彼女たちの評価は真摯に受け止めなくてはならないのだ。
とはいえ、好印象を狙うばかりに、あれやこれやとやりすぎるのは逆効果。狙ってる感が鼻につけば、好感なんて持たれようがない。あくまで、ちょっとだけ気の利いたポイントを設けるくらいがベストだ。それはシャツのディテールの処理であったり、時計やベルトとのマッチングであったりと、手法はさまざま。そうしたテクニックをいくつか心得ておけば、どんなシャツを着たときでも自分らしいバランスになって、かつ洗練されて見えるのだ。
ガチガチに着飾った隙のない着こなしで「めちゃくちゃ素敵〜!」なんて黄色い声よりも、さらっと着たシャツに対して「なんか今日はちょっといつもより雰囲気いいね」くらいの言葉をかけてもらえるほうが、40歳を過ぎた大人にはきっと名誉なことなんじゃないだろうかね。
襟元にニュアンスをつけて男らしい色気を醸す
胸元がはだけすぎるのはNGだが、第1ボタンまで留めるのも優等生みたい……。第2ボタンくらいまで開けて、ニュアンスをつけるとこなれ感UP。ボタンダウンも外してちょっとユルめに。
適当に見えてこれも計算なんです袖まくりは無造作に。きっちり折ると、逆に堅苦しく見えるので注意。決して暑いからまくっているのではなく、センス良く見せるためのテクニック。計算された適当感はぜひ身に付けたい。
袖をまくったときに見える角金時計袖をまくったときに見える腕時計、女性にチェックされてますよ。ブランドにもこだわりたいけど、品の良さが何より大事。その点、端正な佇まいの角金時計はシャツをよりエレガントに見せる。
タックインしたあと、腰回りへの気配りも忘れずに裾をただ入れればサマになるのかといえば、もちろんそんなことはない。腰回りゆったりなプリーツ入りのウエストに、質感のいいベルトを。気負ってないけど、気が利いている。
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