連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
1987年、高さ660mmのマルチスタンドが核のSLS(スノーピークレイアウトシステム)による、秩序立ったギア構成を提案した「スノーピーク」。660mmの高さを快適基準寸法に設定し、テーブルやチェアなどのサイズも準拠させることで、相互の組み合わせを容易にするシステムである。
ほかにも革新的なアイデアを多数具現化し、アウトドア業界に新風を送り続けてきた。1996年に発売して以来、スタンダードとして定着した「焚火台」、センセーショナルなニューカマーである「HOME & CAMP バーナー」について、執行役員 企画開発本部長 CPDOの林 良治さんに伺った。
焚火台の先駆者は「スノーピーク」
——現在、多くのブランドからリリースされている「焚火台」ですが、パイオニアは「スノーピーク」だそうですね。かつて、焚き火は“地面に直接”が一般的でした。しかし、芝生のオートキャンプ場が増えると、直火禁止のキャンプ場が多く新設されました。そこで誕生したのが「焚火台」なんです。1996年にリリースし、今では焚き火を楽しむキャンパーの常識となり、マナーとして定着させました。
——今では常識ですが、当時はかなり斬新だったんですね!実は、発売当初まったく売れなかったんですよ。当時は直火OKの認識が広まってましたから、「なんで使うの?」って。使い勝手の良さも理解してもらえなかったみたいで。一度使いさえすれば、着火しやすさや後始末のラクさに感動できるんですが。単純な作りなので、設置撤収も迷わずスピーディですし。
ただ、厳しい声の中でも、スノーピークの思想に共感し、焚火台を受け入れてくれるキャンパーがいたことも確かです。年々販売数は増え、私たちが掲げたコンセプトが正しかったことが証明されていきました。幸い、今ではマナーが浸透していますから、キャンプに欠かせない存在となっていますね。
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