キャンプは“楽しむ”ものだけど、“魅せる”時代でもある。SNS全盛期、インスタ上で多くのユーザーを魅了する、こだわりを持つ大人たちの「魅せるキャンプ」に密着。
子供にいろんな体験をさせたい。そんな思いで3年前、56歳でキャンプデビューを果たし、今は年間で20泊ほどキャンプを楽しむという菊地貴志さん。彼の魅力的なキャンプライフは、ラインナップ豊富な“酒”とともにある。
菊地貴志さん(59歳) インスタグラム|kikutaka19601223 仕事|メーカー勤務 住まい|神奈川県座間市 家族構成|3人(妻、長女10歳) キャンプ歴|3年 乗っている車|レンジローバー キャンプの設営を頑張る動機は「格別のジントニック」のため
「もともとは家族旅行が趣味だったんです。アウトドアも好きで、コテージも利用したりしていました。でも、もっと子供にいろんな体験をさせたいと思って3年前からキャンプを始めてみたんです。キャンプは20代の頃に友達と何度かしたことありますけど、本格的なものではなかったので、完全にゼロからのスタートでした」。
ギアもゼロから買い集めたという菊地さんだが、今では真冬の雪中キャンプを楽しむほどの経験値を積み、ギアも充実させた。年間10回はキャンプをし、そのうち3〜4回は友人家族などとの大人数で楽しむという。とりわけ醍醐味は大自然のなかで嗜む“酒”だそうで。
「設営後のジントニックはもう最高ですね。私も妻もビールを飲みませんが、やっぱり設営後はシュワッとした酒でスッキリしたくなります。特に大人数でキャンプに行くときは、テントを張って、タープを張って、テーブルを出し……とやっているうちに3時間くらい経っちゃいますから。でも、その後のジントニックは格別に美味い。むしろ、この一杯のために設営してると言ってもいいくらい(笑)」。
うーん、それはきっと身体に沁みる一杯に違いない。ちなみに菊地さん、大人数でキャンプに出かける際は、10人が入れる大きなテント、ノルディスクの「アスガルド19.6」を使うという。これがまたイケてて気分を大いに盛り上げてくれるのだ。
クーラーボックスを彩る酒のラインナップ
キャンプといえばビールのイメージも強いが、菊地さんは嗜まない。その代わりに、ほかの酒は常に幅広くストックしている。そのラインナップを覗いてみると、やはりなかなかの左党であることがハッキリとうかがえる。
「若い頃からバーボンが好きでした。ストレートで飲むのが好きで、銘柄はメーカーズマークかワイルドターキーを愛飲していますね。ほかにもジン、ラム、スコッチ、赤ワイン、それから乾杯用のシャンパンもマストですね。ラムはゴールドラムをストレートで飲むのが好きです」。
菊地さんの場合、その日に何を飲むかは現地で決める。その量は膨大で、酒を収納するために専用のクーラーボックスを用意する必要があるという。一見かさばるが、好きなときに好きな酒を飲む……それこそが菊地流のキャンプの醍醐味なのだ。
じゃあ、どんな気分のときに、どんな酒を飲むの?
それだけの種類があれば、いざ飲むときもチョイスに時間がかかりそうなものだ。菊地さんは、どんな基準で酒を選んでいるのだろう。
「始まりはまずシャンパンです。大人数でシャンパンで乾杯して、ワインに移ることが多いですかね。うちは基本的に赤ワインで、最近はスペイン産のワインにハマっています。で、子供たちを寝かせつけたら、大人たちがしっぽりと飲む時間の始まり。それぞれ好きな酒を飲みますが、私は大好きなジンやラムをストレートでゆっくり飲んだりすることが多いです」。
「もちろん、食事によっても違いますし、季節によっても変わるかもしれません。僕が好きなのは冬のキャンプ。その次は秋。寒くなってくると鍋を食べることも多くなりますから、そのときは日本酒を合わせるのが好きです。熱燗にはせず、しっかり冷酒で飲むというこだわりもあります。そのほうが美味いですから」。
心が落ち着く、ランタンと酒のいい関係
菊地さんはランタンにも強いこだわりがある。使用しているのはフシミ製作所の「バタフライランタン」だ。
ネットで情報収集し、デザイン性や機能性でこれに決定。しかし、デッドストックの希少なクラシックモデルなので、ネットで5つ購入し、あれこれパーツを組み合わせ、現在は2つのランタンに統合して使用している。
「おかげさまでランタンの調子はいいです(笑)。ランタンを眺めながらの酒がまた最高なんですよ。夕食時は周囲を明るくしないといけないけど、子供が寝たあとはグッと明かりを落として、ランタンや焚き火のボンヤリとした灯火のなかで酒を味わう。より落ち着いて酒の美味さを味わえます。至福ですね」。
「ただし、冬はなかなか厳しいですよ。焚き火とランタンを焚いて、マイナス9度のなかで酒を飲んだことがありますが、アルコール度数56度の酒を飲んでも全然カラダが温まらなかったですから(笑)。でも、ランタンが照らす白銀の世界も特殊で、格別なんです」。
キャンプデビューに「遅い」なんてことはない。還暦を前にして、これだけ活き活きと独自のキャンプ術を築き上げた菊地さん。彼から学べるものは決して少なくないはずだ。
「自然のなかで飲む酒は最高です。キャンプというだけで開放的な楽しさがあるのに、そこに酒が加われば、さらに開放的な非日常を楽しめますから。これから私の好きな秋、そして冬がきます。今年はどこで、どんな酒を楽しもうかな」。
その気になる顛末は、菊地さんの
インスタグラムにて。