「お洒落であるより、格好良くありたい」と言う種市 暁さんのスタイルに本誌が注目し、“種カジ”と勝手に命名して早数年。いつもパッと見の印象は無造作なのに、なぜか格好いいから不思議。そんな彼の装いの“タネ”をムリヤリ解説してもらう企画。
ーーボードショーツにビーサンなんて、まだ夏休み気分ですか?
「いやいや、種カジ通常営業中。先日、仕事も兼ねてタイに行ってたから、旅の余韻は残ってますけど」
ーーそうは言っても品があるんですよね〜。僕なんか先日、Tシャツ&ショーツでいたら妻から“早く着替えて出かけるわよ”って。むしろ、ガチのよそ行きのつもりだったのに。
「そこそこ! 基本的にショーツをはいたら半袖は着ない。休日はもちろん、リゾートなどでは特に」
ーーそれで、このネイビーシャツ。
「そう。仕立てや素材まで気を配れればサイコーね。コレはフォーマルの定番ブロード素材を、ビッグシルエットにした一枚。素肌に着ると風が吹き抜けて気持ちいいんですよ」
ーードレープの入った後ろ姿は、確かに風が見えるかのような膨らみ。それで、ショーツは何でもOK?
「場合によりけりですが、無地のほうがすっきり見えていいでしょうね」
ーーで、今日は無地だけど色で遊んだってことですね。キレイなオレンジ。
「そう。イメージはタイの修行僧」
ーーそこですか!?(笑)。何とも奥ゆかしい旅気分だこと。ま、実際、ネイビーとの相性はバッチリですしね。で、ビーサンはレザーですね。
「今、注目のブランド。装飾がまるでないシンプルなトング式のレザービーサンって案外ないんですよ。って実は、僕がプロデュースしているブランドなんですけどね」
ーーなるほど、だからヌケてるのに品があるってわけですね。って、このくだり、宣伝しちゃってません?
「これを履いて、来年も旅しタイ」
ーーおあとがよろしいようで。
超長綿を用いたブロードのビッグシャツ。「いい素材をラフに着る。言うは易しですが、大人になってからできるようになりました(笑)」。これは日本ブランド、グラフペーパーのもの。
重鎮スタイリストである近藤昌さんが手掛けるオルモストのボードショーツ。「タグが後ろ側に付いていて、無地気分ではけるのが気に入ってます。僕好みな短丈でシルエットもきれい」。
「旅先だと脱ぎ履きも多いので、サンダルが重宝します」と、実際に旅先でもフル稼働させていたのが、自身が手掛ける“エルニド”のレザービーチサンダル。細めのトングも上品。
最近クルマ旅にもハマっている種さんが、茨城県笠間市で見つけたKeicondoさんの皿。「アフリカ系の血を引く作者の、ミクスチャーなセンスが好き」と、土産代わりに購入した。
PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの46歳、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤めたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(
@taneichiakira)もチェック!
山本 大=写真 髙村将司=文