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カウンターカルチャー的なアウトドアの価値観を牽引

宮崎さん
「最低温度規格を表記したシュラフはとても画期的でした。リスクもあったでしょうが、それ以上の自信もあったのです」。
 
——初めて世に送り出したアイテムはなんですか?
60年代後半に製作したシュラフです。今でこそ当たり前になっている最低温度規格ですが、初めて表記したのは「ザ・ノース・フェイス」。既存概念にとらわれない画期的アイデアでビジネスにおける常識の裏をかいた、よほどの自信がないとできないアイデアだったと思います。
シュラフ
同時期に発表した内部フレーム採用のバックパック、ルースサックはヒット作となり、今も復刻版が高い人気を誇ります。バックパッキングという言葉がなかった時代ですが、自然の中に身を置くヒッピームーブメントと重なり、徐々に「ザ・ノース・フェイス」は知られた存在になっていきます。
バックパック
——最低温度規格や内部フレームなど、当時から独創的だったのですね。

この写真は創業時のカタログですが、表紙に商品が一切なく、ブランドと無関係のホームレスを起用。ここから何か新しい「何か」が生まれるんだというメッセージが感じられる。おそらく当時の若者たちにとってアウトドアはとてもモダンであり先鋭的な存在に映ったんだと思うんです。それは最新が最良の世界。「ザ・ノース・フェイス」は創業当時からその精神を持ち続けているわけです。
——ストリートへのアプローチもズバ抜けて早かったと思います。
’90〜2000年代はさまざまなスタイルの直営店をオープン。アウトドアフリークだけでなく、より幅広い層へ訴えてきました。新カテゴリーへの挑戦ではありますが、流れとしては自然なんです。ハードな環境で着用して快適なら、街でも気持ち良いはずですから。自分たちのテリトリーに籠らない企業風土があるからこその発想なのかもしれませんね。


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