33歳でAmazonに入社。そこで過ごした歳月とは……2000年の11月にオンライン書店として日本でのビジネスを開始したアマゾン。その半年後、CD・DVDの販売をスタートする計画に伴い、角田さんはこれまでの経験を活かして、部門の立ち上げを任されることとなる。
「僕が入ったときは社員も50人ほどしかいませんでした。それが14年間で世界を代表する企業となり、いまや時価総額世界一になってしまった」。
CD・DVDのビジネスを軌道にのせたあとは書籍、日用品部門などを渡り歩き、さまざまなカテゴリーの商品を担当した。
「アマゾンはすごく数字に厳しい会社。ひとつのセクションに長く居続けることは難しくて、結果を出したら次の部門に異動となり、そこでも結果を求められる。日用品の担当になったときは戸惑いましたが、事業部長にもなっていちばんやりがいを感じましたね。責任は重いけれど充実していました」。
めまぐるしいスピードで会社が成長していくなか、結果を出せない人は辞めてしまうような難しさがアマゾンにはあった。10年以上のキャリアがある人はほとんどいないような状況で、角田さんの14年というキャリアは異例といえる。
そんななか、なぜ「ワルツ」オープンに至ったのか。
「会社勤めだったら当たり前な部分もあるのですが、人に人生決められているみたいだなと、ふと思ったんですよね。40半ばになって、そろそろ自分が本当にやりたいことを追及していかないといけないんじゃないか。そんなことを想い始めたんです」。
40代に入って立ち止まった角田さん。ちょうど、カセットテープの魔力に取り付かれていた時期でもあった。
「アートブック『MIX TAPE』で出合ったカセットテープの写真が、もうアートそのものだなと感じたんです。小さくて美しいフォルムに、音楽が詰まっている。2000年代に入って、またカセットテープに夢中になりました」。
アナログに立ち返った角田さんの独立後は、
【後編】で追っていこう。
藤野ゆり=取材・文