「趣味の良さ」を改めて説明するのは難しい。上品であること。遊び心があること。今っぽさも感じさせること。
そうした言葉を尽くすよりも、実際に「趣味の良いもの」を手に取り目にしたほうが、一瞬で理解に及ぶことがある。
例えば、このスカーフがそう。エルメスを代表する馬のモチーフを用いたカモフラージュ柄。カシミヤとシルクをミックスした素材は柔らかな肌触りと適度な光沢を備えている。
「ロザンジュ」と呼ばれるモデルで、細く巻きつけるのに打ってつけのひし形のフォルム。例えば白Tシャツ&デニムというベーシックスタイルにこのスカーフを合わせるだけでいい。
滲み出る趣味の良さは、決してカモフラージュしきれないと思うのだ。
鈴木泰之=写真(静物) 柴山陽平=スタイリング 加瀬友重、髙村将司、実川 実=文