家事・育児が仕事より大変な理由とは
ちなみに、私自身のことを改めて考えてみると、私個人としての正直なところは「家事・育児より仕事のほうがラク」です(笑)。
私の場合、自分で小さな会社をやっているので、たぶん、会社員の方よりも時間は自由になるということと、好きなことを仕事にしているというふたつの理由でそう感じるのかもしれません。しかし、働き方としてはかなりハードなほうだと思います。なんといっても日々締め切りに追われる仕事なので。
そんな中でも「仕事のほうがラク」と感じる理由として、子育てよりも仕事のほうが理不尽なことが起こりにくいということがあります。
仕事で関わる相手は、少なくとも言葉は通じますし、共通の常識の元で仕事を進めているので、そこまでの理不尽なことは起こりにくいです(稀に起こりますが)。一方、特に子育てでは、理不尽なことが起こりやすいですよね(特に子供がまだ乳幼児の場合には)。
しかし、私の場合、家事・育児と仕事の両方があってバランスが取れていますし、子育てにまつわる理不尽な出来事は、子供の可愛さで帳消しになっているのですが。
また、主婦の仕事が大変なもうひとつの理由として、仕事の成果を評価されにくいということもあると感じています。
外で働く場合、会社員にしても自営業にしても、人から何らかの評価を得たり、感謝されたりして、そのことにより自分が仕事をすることの意義を感じることができ、充実感を得るものだと思います。
具体的に言えば、売上が伸びたからボーナスが出たり、昇給したり、自営業だったら継続して仕事を受注したりするなど、自分の頑張りが周りに認められているかどうかの指標がありますよね。これが仕事のモチベーションにもなるわけですが、主婦の仕事はこういった具体的な評価がほとんどありません。モチベーションは、家族からの感謝の言葉のみということになるわけです。
さらに、仕事だったら毎日の就業時間が決まっていたり、納品日が決まっているなどの区切りがありますが、家事・育児はそれがなく、エンドレスに続きます。その点も、家事・育児が仕事よりも大変だと感じる理由のひとつです。
こういった点から考えても、夫が感謝の気持ちを日頃から言葉で伝えたり、たまには、ひとりで好きな場所にお出かけできるようにすることが、妻の気持ちを前向きにするためには、とても大切なのではないでしょうか。
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と、もうすぐ小学校に入学する娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
MIYU=イラスト
ネオ・マーケティング=アンケート協力
※調査対象:35〜45歳、子持ちの既婚男性200人