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2019.05.14

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葉加瀬太郎さん「口説きたい女性がいたらクラシックを利用してください」

知らなきゃ男が廃るが、知ってりゃ上がる。気にするべきは、顔のシワより脳のシワ。知的好奇心をあらゆる方向から刺激する、カルチャークロスインタビュー。

口説きたい女性がいるなら、クラシックを利用してください(笑)

葉加瀬太郎 ’90年にバイオリン奏者としてデビュー。代表曲には「情熱大陸」「エトピリカ」などがある。
1968年、大阪府生まれ。’90年にバイオリン奏者としてデビュー。セリーヌ・ディオンとの共演で世界的なアーティストとして認知された。代表曲には「情熱大陸」「エトピリカ」などがある。2007年よりロンドンに在住。膨大なクラシック音楽のスコアと向き合う日々を送る。
クラシック音楽に興味はあるが格式が高そうと思っている人は多いだろう。しかし——
「確かにそういうアカデミックな部分もありますけれど、誰かを口説きたいときにクラシックはバッチリ使えるんです。特にチャイコフスキー、ラフマニノフ、マーラーは恋愛向き。コンサートとは、そのように“使う”ものなので、皆さんもうまく使って口説いてください(笑)」。
今秋、日本に初上陸する世界最大のクラシックフェス『BBCプロムス ジャパン2019』のアンバサダーを務める葉加瀬太郎にかかると、はるか遠くの存在だった音楽が、途端に身近で親しみやすいものになる。
「クラシックのコンサートが初めてな人も、家族で観たいという人も、プロムスは絶好の機会です。アーティストは華やかだし、演奏されるプログラムも鉄板の曲ばっかりだしね。要はお祭り騒ぎなんです」と、話題のフェスの魅力を語ってくれた。
その葉加瀬はロンドンを拠点に世界で活躍する日々を送る。“快活な自由人”という印象に違わず「興味があったらやるし、気に入ったら深める。会いたい人には会うし、行きたいところには行く」ことを身上にしている。いずれも実行するのは難しいことだが「人生は一度しかないから」と、さらりと言って笑った。
粋で洒脱な人でいられる秘訣もロンドンにあるらしい。
「1週間同じセーターを着ているようなおじいちゃんでも、靴の先はピカピカに磨き上げられ光っていたりしてね。そういうのにヤラレるんです。音楽にも共通することなんですけど、基本のルールがまずあって、そこからあえて外すというのがロンドンの人は本当にうまい。正統派を熟知しているからできるんですよね」。
では、伝統と革新の狭間をエネルギッシュに行き来する自身の原動力はいったい何なのだろう。
「人が好きですね。音楽を生業にして長いですけれども、特にバイオリンという楽器は1人では何もできない。常に誰かを巻き込んでいるんです。そんな僕を支えてくれる人のためであり、というか、そもそも人の喜ぶことをするのが好きなんですよ」。
そして最後に、クラシックの入門編としておすすめの楽曲を。
「マーラーの2番、いいですよ。逆説的なんですけれど、親しみやすい薄味の曲より最初に濃いやつを聴いて“してやられた”と感じるほうが絶対にいいんです。ラーメンなら最初に二郎食えってことですね(笑)」。
荘厳な交響曲を庶民的に例えてすすめる。なるほど、一流の音楽家自体がオープンな人柄なのだ。クラシックは縁の遠い崇高な世界とするのは、誤った先入観のようである。
『BBCプロムス ジャパン 2019』
『BBCプロムス ジャパン 2019』会場/Bunkamuraオーチャードホール(東京)
会場:Bunkamuraオーチャードホール(東京)
期間:10月30日(水)〜11月4日(月・祝)
※10月31日(木)にはザ・シンフォニーホール(大阪)で開催。また11月2日(土)〜4日(月・祝)には東京・渋谷の複数箇所で入場無料のフリーライブが行われる。
www.bbcproms.jp
PAK OK SUN(CUBE)=写真 美馬亜貴子=取材・文


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