仕事の舵取りは夫、人生の舵取りは妻
ごはん同盟のふたりに限らず、世の夫婦それぞれに、何となく役割分担のようなものがあることだろう。その点、のりこさん、ジュンイチさんの場合は仕事を通じて互いの得意・不得意を理解しているからこそ、より適切なコンビネーションがとれるのかもしれない。
のりこさん「私は仕事に関しては、長期的なプランとか全くないんです。だから、ごはん同盟としての今後の方向性などは夫が考えてくれます」
ジュンイチさん「妻は決まった仕事に対しては強いんです。でも、今後どうやって仕事を作っていくか、みたいなことは得意じゃない。だから、そこは私が担当して、目の前の仕事に集中してもらうほうがいい」
のりこさん「一方で、夫は保険のこととか、人生プランみたいなことは全然考えてない。その場しのぎなんです」
ジュンイチさん「ちょっと、言い方!」
のりこさん「だって、私が『フリーランスの老後』みたいな本を買ったら、そんなの読まなくていいとか言うんですよ」
ジュンイチさん「……老後とか考えると不安でドキドキするじゃん」
のりこさん「だから今から対策立てておくんでしょうが(笑)。まあ、こういう人なので、そっちは私の役割かなと。仕事面でのかじ取りは夫に任せて、私は目の前の仕事と保険のことだけ考える。そんな感じですね」
夫婦といえど、多少は腹の探り合いがあるものだ。しかし、のりこさんとジュンイチさんにはその様子が少しも感じられない。感じたままを素直に、言いたいことを言い合う遠慮のない関係だ。それは、互いを信頼していることの現れかもしれない。
仕事とプライベートの両面で、膨大な数のコミュニケーションを重ねてきたからこそ、達した境地。二人がずっと一緒にいられる理由が、何となく分かった気がした。
[取材協力] ごはん同盟https://gohandoumei.com/榎並紀行(やじろべえ)=取材・文、きくちよしみ=撮影