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デザインだけを見つめてもいいものはできない

「マッドマスター」や「フロッグマン」など数々のGショックをデザインするうえで、橋本さんが大事にしていることは“バランス”だという。
橋下さん
「革新的な構造の時計でも見栄えのバランスが悪ければ、それは製品としてはいいものにならない。だから、格好良くないとダメ。でも格好いいだけでも絶対に飽きられてしまう。そのバランスがいちばん難しい」。
ちょっとしたボタンの出っ張り、ミリ単位のパーツの大小の差。その微妙な違いですべての収まりが悪くなってしまうことは時計以外のデザインでイヤというほど学んでいた。
デザインのそれと同じで、仕事も人生も少しの歯車の違いで完成形は大きく変わるもの。バランスを大切にする橋本さんは、仕事同様にプライベートも大事にしている。
「休日はもう立ち上がれなくなるくらい、全力で遊び倒しますね(笑)。全力で遊べないと全力で仕事もできないと思うんです。遊ぶのも働くのもエネルギーがかかることじゃないですか。だから中途半端にしか遊べないと、その熱量は中途半端にしか仕事に還元できないのかなと」。
仕事に行き詰まったときは自身と同い年、’79年生まれのヴィンテージのハーレーを飛ばして気分転換をしたり、キャンプやアウトドアを楽しむという。3人の子を持つ父親でもある橋本さん。デザインしたプロダクトの歴史は、自身のプライベートの思い出とも密接に紐づいていた。
ハーレー
「完成した製品を見ると仕事に忙殺されつつも、第一子誕生のために病院へ駆けつけたあの日を思い出しますね」。


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