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喧嘩になる水際ギリギリで踏みとどまる

若干の毒を含んだコミュニケーションが、ふたりにとっては心地いいらしい。とはいえ、勢い余って一線を踏み越えないよう、毒気の“濃度”には気を配っている模様。
ジュンイチさん「小競り合いで済んでいるところと、これ以上踏み込むと怒るだろうなっていうラインは、最近見えるようになってきましたね」
のりこさん「え、最近なの? フフフ」
ジュンイチさん「そういうときは、それ以上言わずに黙ります。ギリギリ水際のところで止めるように。気づいてた?」
のりこさん「ああ、どおりで最近ストレスがないと思った、そういえば。気を遣ってくれてたんだ。でも、私も怒らせてないでしょ。1週間に1回くらいしか」
ジュンイチさん「1週間に1回だったらじゅうぶん怒らせてるじゃん! ていうか、怒ってないし」
のりこさん「まあ、この人が怒っててもあんまり気にならないですね。あんまり興味がないのかも。フフフフ」
ジュンイチさん「ひどいね。ひどい話だ」
白井夫妻

 

白黒つけることが、必ずしも正解ではない

ただ、それでもときには険悪な雰囲気になることもある。そうした場合の仲直りの方法も、ふたりの間では確立されているようだ。
ジュンイチさん「何となくですけど、険悪になったときでも僕が妻を笑わせたら勝ち、みたいなところはありますね。僕はあまり怒りが持続しないタイプなので、妻の気持ちが落ち着けば喧嘩も終わるんですよ」
のりこさん「まあ、私ゲラなんで、ちょっとしたことで笑っちゃうんですよね。さっきまで激しく喧嘩してたのに、何分後かには夫はケロっとしてて、何事もなかったかのように冗談を言ってきたりする。そうすると、つい笑ってしまう……。まあ、喧嘩になるとこっちは引っ込みがつかなくなるし、だからといってずっと怒っているのも疲れるじゃないですか。だから、そういう夫の性格に救われているところはありますね」
ジュンイチさん「喧嘩っぽくなっても、あえて強制終了するようにしてますね。まあ、何の解決にもなってないんですけど、それでいいのかなって。どっちかが謝って終わるのって、上下関係ができてしまうからあまりよくないと思っているんです」
白井夫妻
のりこさん「そんな深いこと考えてたの?」
ジュンイチさん「そう、だから積極的には謝らない。そっちも謝らないでしょ」
のりこさん「謝ってるよ、西の空に向かって」
ジュンイチさん「そんな謝り方知らないよ!」
と、隙あらば漫才を繰り出してくるふたりだが、最後はジュンイチさんがビシっと金言で締めてくれた。
ジュンイチ「まあ、マジメな話、仕事の場であれば、きちんと決着させたほうがいいと思いますが、夫婦関係でそれをしてもあまり意味はないのかなと。無理に白黒をつけたり、相手の行動を改めさせるより、穏やかに生活を続けていくことを優先させた方がうまくいく気がします」
【後編】に続く。
[取材協力]
ごはん同盟
https://gohandoumei.com/
 
榎並紀行(やじろべえ)=取材・文、きくちよしみ=撮影


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