OCEANS

SHARE

  1. トップ
  2. ファッション
  3. VANSの裏側まで愛するビームス名物バイヤーが特別視する10の傑作コラボ

2019.03.18

ファッション

VANSの裏側まで愛するビームス名物バイヤーが特別視する10の傑作コラボ

スニーカー愛に溢れる男が語る「トクベツすぎる10足」とは?
OC世代に捧げるスニーカー偏愛物語 vol.3

ビームス バイヤー
加藤忠幸 さん Age 45
サーフ&スケート部門バイヤーの傍ら、2017年よりビームスのオリジナルブランド、SSZのディレクターも兼務。実家、湘南の加藤農園で鎌倉野菜も作っており、2足のわらじで獅子奮迅。愛用モデルは、ヴァンズのハーフキャブ。
 
 
「俺といえば、ヴァンズっすよね」と開口一番。加藤さんの気取らない人柄が滲み出る。スケートを始めたのは大学生のとき。「遅咲き」と語るが、今や数多所有するスケートシューズのなかでも圧倒的な数を占めるのが、ヴァンズだ。
「ヴァンズって、サーフ&スケートカルチャーに軸足を置いて、シーンからもきちんと支持されていますよね。スポーツ系メガブランドのような幅広さはないですが、それしかやれないような不器用さが魅力(笑)。コラボレーションをしようというデザイナーやアーティストに、“今回は、ヴァンズでどう?”と聞くと、10人が10人とも“最高だね!”って共感し合えるんです。サーフ&スケートカルチャーに通じる男たちの共通言語。ベースが限られるなかで、どのように自分を表現するか。コラボモデルが多いヴァンズだけに、皆、気合も入りますね。やり出すと、スニーカーだけでなく、だいたい箱にもこだわり始める(笑)」。
そんなヴァンズ愛溢れる加藤さんの「マイ・ベスト・ヴァンズ10選」。「自分が手掛けてきたモデルを最高と言わなきゃ嘘ですよね(笑)」と、加藤さんの実直さが滲む。
「俺、基本情熱っす」と、まず並べてくれたのが、ビームスの名のもとで加藤さんが引き合わせたコラボのヴァンズ。職業柄、人気ブランドやアーティストとのコラボレーションは不可欠だろうが、彼の仕事においては、何よりも愛情が優先されているように感じる。
例えば、「LA出張の際は、必ず会いに行く」というサンタ・クルーズ(※1)のグラフィックアーティスト、ジム・フィリップスさんとのコラボ(01)や、スケートシングさん率いるカリスマブランドのC.E(02)、清水慶三さんによる渋谷の名店、ネペンテスとのコラボヴァンズ(03)など、いずれも当時の話題作だ。
サンタクルーズ×ヴァンズの「スリッポン」
コラボ第1弾はサイドやヒールの絵柄が左右色違いに。ワッフルソールはクリアになっており、スクリーミング・ハンド柄が透ける仕様。
ヴァンズ×C.Eの 「ベアキャット」
「アメリカの量販店で売っているようなモデルをスタイリッシュに昇華した点がすごい」。ヴェンタイル素材を使った撥水仕様。
ネペンテス×ヴァンズの 「スリッポン」
「社長の清水慶三さんと仕事がしたい」という熱意から、ネペンテス SBというビームスエクスクルーシブのラインを作ってもらいヴァンズとのコラボにこぎつけた意欲作。
愛するブランドとのコラボからは、モデル選びやディテールなどの学びも多く、ビームスやSSZのコラボ(04・05)でその経験が活かされる。
ヴァンズ×ビームスの「スリッポン」
トウキャップにポケットを備えたコラボ作。「ボックスは僕の愛用ノートの罫線をデザインした特別仕様」
ヴァンズ×SSZの 「スリッポン」
ポケット付きスリッポン第2弾は、映画『初体験/リッジモント・ハイ』からインスパイアされたチェッカーフラッグ柄。
何より思い入れが強いというのが、SSZを始めてからリリースした、通称「裏ヴァンズ」だ。
とあるイベント(※2)で、オールドスクールを自由にアレンジするという企画展に僕も招待されたんです。ほかのアーティストが実物で参加するなか、僕はデザインでの出展。コンセプトを重視する現代アート感覚ですね。実際作れなかったですし(笑)。
そこで出展したのが、裏返しにしたオールドスクール=裏ヴァンズのイラスト。商品化へのハードルは高く、2年を要しました。第1弾は、諸事情あってスリッポン(06)、その後、ようやく諸事情をクリアしたオールドスクール(07)を販売しました」。
ヴァンズ×SSZの 「スリッポン」
スニーカーを裏返したデザインの製品化において、実現化しやすいために最初にリリースされたスリッポン。ブラックはその第2弾。
ヴァンズ×SSZの 「オールドスクール」
実現化の際に困難だったシュータンのあしらい。レース内側にもう一枚かますダブルタンとすることで商品化が成功。イラストに最も近いデザインの第3弾。
最後に、尊敬するデザイナーたちがコラボレートしたヴァンズへの思いも語ってくれた。
「エンジニアド ガーメンツ(08)やダブルタップス(09)のコラボは、日本人デザイナーながらグローバルラインという点に憧れます。いずれも意外な着想で都会的。さすがですよね。
ヴァンズ× エンジニアド ガーメンツの 「スリッポン」
スムースレザーとスエードの切り替えを左右ネガティブ(反転)としたセンスに惚れ込んでいるという。
ダブルタップス×ヴァンズの 「ジェフ・ローリー」
イギリス人スケーター、ジェフ・ローリーのシグネチャーモデルをダブルタップスが手掛けた。「ヴァンズ低迷期から復活を遂げた伝説的モデルを手掛けられる西山徹さんがすごい」
また、大好きなニール・ブレンダー(※3)とのコラボもハイセンス(10)。こうして並べると、やっぱりヴァンズには、夢があるっすね」。
ヴァンズ シンジケートの 「オーセンティック」
今はなきプロスケートライン、シンジケートにおいてニール・ブレンダーとコラボ。「シティボーイっぽいところが、ツボなんです」
温かな眼差しでヴァンズを眺める加藤さん。さらなるSSZのクリエイションに期待大だ。
 
偏愛トークにまつわるお節介な注釈
※1 サンタクルーズ
LAを代表するデッキブランド。全盛期には、ジム・フィリップスをデザイナーに採用。彼の、手に口が描かれた「スクリーミング・ハンド」のアートは有名。
※2 とあるイベント
渋谷のスニーカーショップ、ビリーズのオープニングで催された「BILLY’S BE THE ORIGINAL」というイベント。
※3 ニール・ブレンダー
スケート界のカリスマ的アーティスト。ダイナソーJrのCD「without a sound」のジャケットでも有名。
比嘉研一郎=写真 髙村将司=文


SHARE

次の記事を読み込んでいます。