それぞれのブランドが掲げる、最も大切な戦略のひとつが革新性。新しいテクノロジーの開発だ。スニーカーなら、履く人がより高いパフォーマンスを発揮する機能を提供するのが使命となる。志の高い各社が凌ぎを削り、切磋琢磨して手にした技術を知れば、もっとスニーカーが好きになる。
NIKE ナイキ 【MODEL】上からナイキ ズームフライ フライニット、 ナイキ エア ヴェイパーマックス 2019、ナイキ エア マックス 720 [上]速さと耐久性を兼ね備えたシューズ 【TECHNOLOGY】カーボンプレート 今、マラソン界を席巻しているのが、ミッドソールにフルレングスの「カーボンファイバー製プレート」を内蔵したナイキのシューズだ。着地と同時に強い反発力で足を前へ押し出し、まるで跳ねるような推進力を実現。多くのランナーが好成績を叩き出しているのだ。
1万6000円/ナイキ 0120-645-377 また、ミッドソール素材には、EVAよりも柔らかく、路面の凸凹を感じにくい「リアクト」を採用することで、強い反発力に負けないクッショニングも獲得した。さらに、軽量化されたフライニット素材のアッパーは通気性が高く、足を包み込むようなフィット感でパフォーマンスの向上をサポートしてくれる。
[中]エア ユニットがアウトソールとしても機能する 【TECHNOLOGY】ヴェイパーマックス エア ユニット これまでの「エア ユニット」は耐久性を高めるためにゴムの層で覆う必要があったが、この「ヴェイパーマックス エア ユニット」は、それ自体がアウトソールとしても機能。つまりはミッドソールが不要で、クッション構造がむき出しの状態なのだ。結果として、屈曲性や弾性を高めることに成功。
1万9000円/ナイキ スポーツウェア(ナイキ 0120-645-377) また、9つに独立したエア ユニットはこれまでにないデザイン的な面白さもある。そしてアッパーに使用されたウーブン素材は、これまで以上に伸縮性に優れ、しっかりと足をホールドして包み込み、歩行を快適にサポート。弾力ある柔らかい履き心地を体感できる。
[下]30年以上進化を続ける、エアの系譜 【TECHNOLOGY】エア ユニット 1979年に、エア テイルウィンドの登場によって瞬く間に市民権を得たナイキの「エア ユニット」。その後、ミッドソールに完全に埋め込まれていたエアを透明の窓によって初めて可視化したエア マックス 1が大きな話題となった。
1万8000円/ナイキ スポーツウェア(ナイキ 0120-645-377) そしてエア マックス 97では初めてフルレングス ユニットを実現する。この由緒ある伝統を引き継ぎ進化させたのが最新作エア マックス 720だ。この革新的なエア ユニットは、前作エア マックス 270の32mm厚をさらに超える38mm厚とナイキ史上最高であり、エアの体積も最大だ。ソールをくるりと包み込むようにエアを搭載することで弾力性も増し、快適な歩行が約束され、履き心地は極上のひと言。トウやサイドのメタリックな質感やパープルのカラーリングがハイテク感をより高めている。
SALOMON サロモン 【MODEL】左からソニック RA MAX 2、プレディクト RA [左]疲労や怪我につながる振動を軽減する 【TECHNOLOGY】バイブテクノロジー 着地の際、いかに衝撃を吸収し、反発させるかがスニーカーには重要だが、実は着地の瞬間に振動も発生しており、これがランナーの疲労やケガにつながる。その振動を吸収する唯一の技術がサロモン独自の「バイブテクノロジー」だ。
1万5000円/サロモン/アメア スポーツ ジャパン 03-6631-0837 ミッドソールにはエナジーセルプラス素材を採用し、衝撃緩和と高い反発を実現。さらにオパールという振動吸収素材を組み込むことで疲労を軽減してくれる。このソニック RA MAX 2はシリーズのなかでも長距離ランナーに最適な性能を提供する。踵が地面に着地する際、足の外側に軸をシフトさせることで母指球付近に安定感を持たせ、ゆっくりしたペースで走ったときの快適性を高める。
[右]足本来の動きを導く、解剖学的構造を採用 【TECHNOLOGY】サロモン独自のアウトソール 無理に矯正するのではなく、ランナーが最も走りやすい動きを自然と導き出す。そんなコンセプトの基に、サロモンの技術が集約された最新作がこちら。最大の特徴は10個のパーツに分割された独特のボトムユニット。緻密な計算のもと、足の細かな関節の動きに対応して設計され、関節への負担が大幅に軽減される。
1万7000円/サロモン/アメア スポーツ ジャパン 03-6631-0837 加えて、ユニークなのはヒールカップで、なんと女性用ランジェリーブランド「ビクトリアシークレット」と共同開発。ブラジャーに用いられている形成技術を応用し、非常に柔らかく万人にフィットするよう設計されているのだ。
鈴木泰之=写真 谷中龍太郎=文