それぞれのブランドが掲げる、最も大切な戦略のひとつが革新性。新しいテクノロジーの開発だ。スニーカーなら、履く人がより高いパフォーマンスを発揮する機能を提供するのが使命となる。志の高い各社が凌ぎを削り、切磋琢磨して手にした技術を知れば、もっとスニーカーが好きになる。
NEW BALANCE ニューバランス
【MODEL】フレッシュフォーム ザンテ パシュート
ハニカム構造で生み出す、クッション性と安定性
【TECHNOLOGY】フレッシュフォーム
2015年に登場し、’19年にさらなるアップデートを遂げたミッドソール素材「フレッシュフォーム」。軽量でソフトな単一素材で一体成形され、その形状だけでクッション性と安定性を生み出す、ニューバランス独自のテクノロジーだ。
ハニカム構造になった六角形の凹凸がソール壁面に施され、凹んでいる部分がクッション性、盛り上がっている部分が安定性をもたらす。単一素材なので、ブレも少なくスムースな履き心地を提供。走りやすさに重きをおいたフレッシュフォームは、軽いランニングからフルマラソンまで高い汎用性を誇る。
ASICS アシックス
【MODEL】ゲル クウォンタム インフィニティ
ミッドソール全面に採用したゲルテクノロジー【TECHNOLOGY】ゲル
1986年、アシックスは防振材・衝撃吸収材として用いられるシリコンを主原料とする軟質なゲル状素材を「ゲル」と名付け、シューズの衝撃緩衡材に採用。そのゲルテクノロジーを初めてミッドソール全面に用いたこちらのゲル クウォンタム インフィニティは、足裏全体でゲルの柔らかさ、今までにないクッション性を体感できる。
ミッドソールから流れるような波紋状に仕上げたアッパーは、縫い目を極力減らしたワンピース構造で、足当たりが良く履き心地も快適だ。通常のメンズモデルのカラーリングは2色展開。水滴とその波紋から着想を得たソールのグラデーションが特徴的なのだが、こちらの直営店限定はオールブラックでストイックな印象に仕上がっている。
REEBOK リーボック
【MODEL】フロートライドランファスト プロ
まるで体が浮いているような、軽さとクッション性
【TECHNOLOGY】フロートライドフォーム
ミッドソールに使用される「フロートライドフォーム」は、 革新的な超高分子化合物スーパーポリマーを採用し、 従来のEVA素材の約半分にまで軽量化に成功。これが総重量約100g(片足)という圧倒的な軽さを実現させた。しかも、ただ軽いだけではなく驚異的なクッション性能も備え、柔らかいうえに反発力にも優れる。
さらに、それを支える超薄型アウトソールは優れた耐久性とグリップ性能を兼備する。そして、ジャカードメッシュアッパーがこれまでにない通気性を実現。結果、まるで体が浮いているように快適なランニング感覚が味わえるのだ。
PUMA プーマ
【MODEL】JAAB XT(ジャーブ XT)
2つの独自テクノロジーを組み合わせ、さらに昇華
【TECHNOLOGY】ハイブリッド
ポリウレタンを溶かして金型に流す射出成形の方法で開発し、高いフィット感、弾力性とポリウレタンならではのクッション性を備えたミッドソール素材「イグナイト」。これは従来のものより反発性を約30%、反発する速度を40%以上もアップさせ、次の一歩が出やすい構造を確立したテクノロジーによるものだ。
そしてもうひとつ、体重移動に合わせてミッドソール内で流動して高いクッション性と反発性を生むビーズ素材「エナジー」。ボクシングにインスパイアされた最新作ジャーブ XTには、プーマが誇るこの2つの独自技術を組み合わせて、それぞれの良さを引き出した革新的なミッドソール素材「ハイブリッド」が搭載されているのだ。これに加えて、スリップオンのブーティ構造、安定性をもたらすラバーストラップ、そして360度の動きに対応できるアウトソールという抜群の機能性がスタイリッシュなデザインをサポートする。
鈴木泰之=写真 谷中龍太郎=文