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2019.03.01

かぞく

「幸せな離婚でしたか?」の問いに8割がYES。バツイチ男たちの肖像


連載「オーシャンズ X :幸せな離婚編」vol.7
「離婚したんだ」と話せば大抵は憐憫の眼差しを向けられるだろう。だが、長い目で見ると必ずしも不幸な出来事とは限らない。バツは見方を変えるとX(エックス)という“未知数“を表す記号にもなるのだ。3組に1組が離婚すると言われている今、本連載では「幸せな離婚」について論究していく。
「オーシャンズ X :幸せな離婚編」を最初から読む
今回は、離婚経験を持つ男性32人にヒアリング。それをもとに「幸せな離婚」の実像を浮き彫りにしていきたい。
まず印象的だったのが、離婚を振り返ってもらった際に、離婚経験者全員が異口同音に語ったのが「大変だった」ということだ。婚姻期間が長ければ長いほど、築き上げた関係値や資産はふくれあがり、“大変だった値”も高くなるようだ。
だが、“大変だった値”=“不幸”とは捉えていない。大変だった時期を乗り越えて「幸せな離婚だった」と振り返る人が8割を上回ったのだ。
それは強がりか、偽らざるホンネか。まずはコメントから見ていこう。


■「幸せな離婚ができた」と振り返る人の意見

「2人が幸せになるための離婚で、相手が現在幸せになってることを考えるとそう思う」(42歳飲食業・バツ1・子なし)
「幸せな離婚だったと思う。そもそも結婚が浅はかだった。でも、結婚・離婚を経験したことで、お互い人生の目的に気付けた」(37歳会社員・バツ1・子なし)
「約10年の婚姻期間を経て離婚したが 、もう一度恋愛できたので。元妻とは今でも家族のような関係」(35歳会社員・バツ1・子なし)
「離婚という結果になったが、結婚してなかったら娘に会えなかった」(36歳飲食業・バツ1・子あり)
「元妻との関係は、出会いまでさかのぼって、今が一番いい。元妻と適度な距離感を保ちながら、親として子供の成長を楽しむことができるとともに、自由な時間も確保でき、男としての成長と娯楽を続けることができる。身勝手な言い方をすると、離婚とはネガティブワードにとらわれがちだが、実は、『親』『男』として、すべての幸せを獲得できているのではないかと思うことがある。そのために支払う養育費くらいは、まったく問題ではない」(43歳会社役員・バツ2・子あり)

■「幸せな離婚ではなかった」と振り返る人の意見
「子供のことを考えると、手放しに幸せだったと断定することは正直できない」(41歳営業・バツ1・子あり)
「幸せな離婚だとは思わない。幸せな離婚という言葉自体理解しがたいものがある」(自営業・バツ1・子なし)

■どちらでもない/結論はまだ派の意見
「子供のことを思うと幸せとは言えないけど、離婚したおかげで仕事は上手くいったと思います」(35歳会社員・バツ1・子あり)
「他者からは離婚して良かったね。と言われるが私自身何が正解なのか現時点では分からない」(34歳不動産業・バツ1・子なし)

 
「今の幸せ」によって過去の選択を肯定できる
離婚という結末を受け入れるのにそれなりの時間を要するだけに、決断が正しかったかどうか、すぐにはわからない人は多いだろう。だが「幸せではなかった」派も「どちらでもない/結論はまだ」派も、実は「幸せな離婚だった」派に比べると少数意見だったことは興味深い。
その判断基準は、結婚していたときよりも、今のほうが自分らしく生きられていたり、新しいパートナーに出会えたことにある。
とくに元妻との子供をもうけたなかで「幸せな離婚ができた」と振り返る人は、別れた妻との関係が良好な形で続いていることがわかる。幸せな離婚を求める条件のひとつは「相手と揉めることなく、関係が破綻していない」と言えるだろう。
確かに離婚によって一方的な不利益を被る子供の存在は、離婚という結末の捉え方に大きな影響を及ぼすのは間違いない。親の責任を感じるなら、手放しに「幸せ」と言い切ることはできないという視点もあるだろう。裏を返せば、子供の生活から教育、心理までのあらゆる側面をサポートでき、さらに理解を得られたうえで初めて、幸せな離婚と結論できると言える。
 
離婚を選ぶハードルが下がり、世間の見方も変化
離婚のキズが癒えなければ、こういったアンケートに積極的に答えにくく、結果的に肯定派が増えた……という仮説も成り立つが、離婚という行為が御法度だったような古い時代に比べ、多くの人がポジティブな結論付けができているのは間違いない。
次回は、離婚経験を持つ男性が“離婚して良かったと思うこと”をテーマについて掘り下げて行きたい。
吉々是良=取材・文 石井あかね=イラスト

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