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2019.02.28

かぞく

夫婦の“いろんな”スキマを埋める「ペア読書」のススメ

ペア読書
夫婦の時間。結婚直後ならまだしも、「家庭」や「生活」というある種の“タスク”が生まれると、なかなか「2人のためだけの時間」を作ることが難しくなってくる。「週に一度は夫婦で外食」、「週末は夫婦で趣味の映画鑑賞へ」なんてセリフ、一度は言ってみたい。
だが、仕事に、家族に忙しいオーシャンズ世代にとって、夫婦の時間はおざなりにされがちだ。そんなとき、気軽に、簡単に、2人の濃密な時間を作れるかもしれない。それが「ペア読書」である。ペア読書とは、2人で同じ本を同時に読む行為なのだが、これが意外に面白い。

Twitterで話題の「ペア読書」とは

ペア読書について、もう少し詳しく説明しよう。
発端は、昨年の暮れ頃から@1000teaさんという方が提唱し、IT業界関係の一部の有志がペア読書を推進している。最近ではTwitterなどに「♯ペア読書」とアップする人がちらほらと増えてきている。
ペア読書のルールは簡単だ。2人とも興味があって、読むことに合意している同じ本を選ぶ。時間はきっちり30分間。だらだら読まず、むしろ限られた時間で集中して本の概要を掴む。その後、10〜30分ほどディスカッション。本の内容について、気になったところ、分からなかったことをお互いに話し合うというもの。
ネット上では、同僚との知識共有や、若く意識高い系の人々が経済本や自己啓発本を読みあうパターンが多いようだが、筆者は、実は夫婦に向いているスタイルだと思う。
それはなぜか。実際にやってみた筆者の体験と合わせてそのメリットを紹介しよう。

いざ実践。夫婦で行う3つのメリットを体感

そもそも私は、読書こそ、自分の好きなときに好きなペースで読みたい派である。だが、忙しい日常の中では時間が取れず、中途半端に読み終えたり、買っても読まずに本棚に置きっぱなしになったりすることも多い。それがペア読書というルールを課すことで、元々読みたかった本を集中して読むきっかけになる。
今回は、自宅の本棚に置き去りにされていた蛭子能収さんの「ひとりぼっちを笑うな」というエッセイを選んだ。妻も、最近のテレビタレントとしての蛭子さんを面白く観ているということで同意した。
そしてペア読書のポイントは、30分という制限時間。実際、30分で読み切れる本など、そうそうはない。だからこそ、集中力も高まるし、読み切れなかった部分などを後のディスカッションパートでフォローしあうことになるのだが、なかなかこれが面白い。自分なりの理解を即座にフィードバックしてもらえるし、違った視点の解釈が生まれてくる。まさに「知の共同作業」。夫婦の共同作業は、2人の絆を強くする。
さらになんと言っても、「いつもとは違うテーマの会話ができる」ということが大きい。日常に埋没すると、家計のこと、子供のことといった共通の話題ばかりを話すようになる。まして、仕事の話は御法度だ。夫婦のマンネリは、会話のネタの枯渇から生まれると言っても過言ではない。
そんな状況の中で数十分でも、いつもと違うネタを夫婦で話し合うことで、相手への見方が変わったり、知らなかった一面を垣間見たりすることもできるのだ。
ちなみに、この蛭子さんの本は、世間の同調圧力や、個性や自分らしさの追求にがんじがらめになっていく最近の風潮を軽やかにスルーして、本当の意味で自立して生きることの大切さに気づくヒントが満載の良書である。彼らしい自然体のトーンで分かりやすく、かつ読みやすい。
ざっと読み終えディスカッションを始めると、妻から普段のママ友との関係にある同調圧力についての話が出たり、私からこの本を読んで、子供との向き合い方に反省したことを素直に話したりと、話がどんどん弾んでいく。結果、普段だったら面と向かって話せないまじめな意見を交わし合うこととなり、お互いの考えを改めて知るいい機会となったのだ。
今回はエッセイだったが、小説や雑誌などでペア読書をしても面白いかもしれない。小説なら、流石に30分では終わらないので、毎回、章を区切って2、3回に分けて開催し、その後の展開をお互いに予想しあう、なんてのも楽しそうだ。雑誌なら、どのページに興味を持ったか、その違いを楽しむこともできるし、お互いに知らなかった知識やセンスを共有できるのもいい。
そんな夫婦の濃密体験がたった1時間でつくれる。ぜひ、今度の週末にも試してほしい。
文・編集部S
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