名作と呼ばれるものを購入し、経年変化を楽しんで一点物になる喜びを感じるのもいいけれど、家具でも小物でもゼロから自分でモノづくりをするとそれとは別の感動がある。
ただ、その前に気の利いたツールを集めるだけで、どんな物でも作れるという自信が湧いてくるから不思議だ。
「ヘリテージレザー」のツールバッグ
優れた工具に出会うと、男はなぜだかワクワクするし、それを上手に使いこなす人を見ると単純に格好良いと思う。自分もそんなふうにさまざまな工具を使い分けて何かを熱中して作ってみたい。漠然とした願望は、完全に見た目優先の話だけど、“工具が似合う男”は誰もがたまに演じてみたいものだ。
では、そのために何が必要か?それは間違いなく好きな工具がずらりと収納できるレザーのツールバッグだろう。しかもLAが誇るヘリテージレザーのものなら申し分なし。ソフトな牛革の風合いは、それだけでクラフツマンシップが感じられるし、ポケットの遊びやバランス、リベットの配置は、使いやすさと耐久性が完璧に計算されている。さて、これを腰に巻いて何を作ろうか?
「ホーボー」のベストと腰巻きエプロン
ガーデニングがテーマのベストとエプロンは、スナップボタンで合体できる。大小複数のポケットには工具もぴったり入るから、庭でもガレージでも大活躍するはず。
「M&M」のハンマー&スタンドと「エレメンタリーデザイン」のマルチドライバー
通称“石頭ハンマー”は、なめらかな肌触りのウッドに刻印を施した持ち手に、ブランドの職人気質が宿っている。付属する六角形の台座にセットすればオブジェ的にも楽しめる。デザインに定評のあるロンドンのツールメーカーが手掛けたドライバーは、亜麻仁油をブナ材に浸透させた味わいのある持ち手を備えた。6種類のビットが付属しているから、これ1本で大抵のビスに対応する。
「フレッシュサービス」のツールボックス
どんなに機能美に優れた道具も、常に乱雑な状態で扱っていてはすぐに傷んでしまうし、作業効率も悪くなる。やはり男心をくすぐる道具の数々は、決められた場所に決められたものがきっちり収まっていて本領が発揮できるし、何より気持ち良く使える。そうなると大切なのはツールボックス。
形状も材質もさまざまなものがあるが、“きっちり収納”を貫くなら、無駄な装飾はいらない。架空の運送会社をイメージしたブランド、フレッシュサービスは、まさにそんなマルチボックスを、自衛隊の救急ボックスを手掛けている新潟・燕三条の工場に依頼して手間暇かけて作っている。美しくスタックできるタフなスチール製の箱に詰まっているのは、ずばり男の美学だ。
「M&M」のスツール
ブランドらしさを体現したベストセラー、丸スツール。三脚塗装タイプで、座面には焼印ロゴのプリントが施されているのに注目。きれいにスタックできるから収納にも困ることはない。
「ケービー エトス」のLEDライトニットキャップ
ハリのあるアクリル仕様のニットキャップにLEDライトが付属。USBでの充電方式だから電池交換も不要だ。3段階の明るさ調整機能も付いていて、夜間や暗い場所での細かな作業をサポート。
「カルバン・クライン ジーンズ エスタブリッシュド 1978」のオールインワン
バックにネオンカラーのプリントを施したオールインワン。作業効率を上げるのはこんなワークウェアだけど、身幅を抑えたフォルムは、タウンユースにもマッチする。
左から「スコット」のペーパータオル、「ハワード」のレストアフィニッシュ
「ブライワックス」のワックス
[左]吸水力に優れていてしかも破れにくい。1ロール55枚入ったアメリカ生まれのペーパータオルは、オイルの処理や工具の拭き取りに重宝する。いくらあっても困らない消耗品だ。
[中]木工品の傷や色褪せなどを目立たなくする液体フォーミュラ。家具をメンテする際の必需品。
[右]天然の蜜蝋を含んだワックス。無垢の木の表面の保護・艶出し・着色などに使う。
鈴木泰之=写真 遠藤 寛=スタイリング 川瀬拓郎、長谷川茂雄=編集・文