誰しも思い入れのあるスニーカーの1足や2足はあるもの。復刻ばやりの昨今、再び日の目を見たモデルも少なくないとはいえ、たいていはセピア色の想い出の中だ。いまだスポットライトを浴びていないそんな1足を勝手に復刻リクエスト!
「スニーカーに関する取材で好きな一足を語ってほしいと聞かれたら間違いなく挙げる一足です。カラバリで5〜6色揃えて、ローテーションで一週間履き続けた過去も(笑)」。
吉祥寺のスニーカーショップ「SKIT(スキット)」のオーナー・鎌本勝茂さんが、そんな思い出話とともに満を持して取り上げたのはNIKE(ナイキ)の「ZOOM AIR URL(ズーム エア ユーアールエル)」。
以前に挙げた「SNAK(スナック)」に続いてのスケートボードシューズだ。
デザイン、機能、耐久性。三拍子揃った名作
「ズーム エア ユーアールエル」はナイキのスケートボードシューズライン、SBの最初期にラインナップされたモデルだ。
「ミニマムな顔つきはオールドランニングシューズの名作『STING(スティング)』がベースになっていると思います。こういう遊び心もナイキの魅力ですが、デザイナーは、見る人が見ればそのネタ元がたちどころにわかる配色をラインナップ。野球チームやフットボールチームから、果ては赤と緑のヌードルまで(笑)。すべて公表されるわけではないのですが、ニヤッとしちゃいますよね」。
鎌本さんを虜にしたのはユニークなデザインだけではない。その履き心地もまた、彼の心を鷲掴みにした。
「バッシュしか履いてこなかったぼくにとってくるぶしを締めつけないローカットはそれだけで十分快適だったんですが、見逃せないのがズーム エア。ソフトに反発するクッションソールは画期的でした」。
耐久性にも優れる「ズーム エア ユーアールエル」を、鎌本さんは結局10年履き続けたという。
「スニーカーとしての完成度がかなり高いモデル。ぜひ復刻してもらいたいですね」。
PROFILE
鎌本勝茂●1978年青森県生まれ。高校卒業と同時に上京、いくつかの店でスニーカー販売を手掛け、2001年、吉祥寺に一号店をオープン。そのたしかな見識眼で多くのスニーカーファンを虜に。映画『スニーカーヘッズ』にも出演した。現在は大阪、仙台、福岡にも出店。
竹川 圭=取材・文