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2019.02.13

ファッション

ブルース・ウェーバーのポスターから40年代古着まで。いい一点モノが待つ3店

いいモノとのいい出合いが待つ店はどこにある? ググれば数万の検索結果が出てくるが、「選べないし時間もないし」というのが大人の本音。で、頼りになるのはやっぱり生の声。ファッションのプロに聞きました。「あなたの好きな店ってどこですか?」。
スマホやeコマースが発達したことで買い物はとても便利になった。それでもまだ、自分の目で確かめなければ買う決心がつかないモノもある。いわゆる“一点モノ”がまさにそれ。
細部のディテールだったり、質感の違いだったり、背景にあるストーリーだったり……一点モノに惚れ込む瞬間は、いつだってアイテムと直面したそのときだ。それだけは、世の中がどれだけ便利になっても変わらないはず。
では、アイテムのセレクトを生業とするファッションのプロたちは一体、どんな店に“一点モノ”を掘りに行くのか。彼らがプライベートで宝探しに出かける名店を3つご紹介しよう。
 

①カルチャーに裏づけされたアイテムが揃う店
「グランドギャラリー」(代々木)

「愛犬の散歩で代々木公園へ行ったときに、たまたま見つけたんです。外から見えた犬用のグッズがどうしても気になって……」。
代々木にあるショップ「グランドギャラリー」の外観。
そう語るのは、本誌で「種カジのタネあかし」を連載中のフリープランナー、種市暁さん。種市さんが「一点モノを掘る店」として挙げたのは代々木の「グランドギャラリー」。店を営むのは音楽プロデューサーの井出 靖さんで、音楽を切り口にしたラインナップが特徴だ。
音楽プロデューサーで「グランドギャラリー」店主の井出 靖さん。
井出さんは2005年にCDレーベル「グランドギャラリー」を設立し、2009年に同名のショップをオープンした。種市さんは言う。
「例えば写真家のブルース・ウェーバーやリチャード・アヴェドンのヴィンテージポスター。アメリカブランドのドーサのバッグに、カリフォルニア在住アーティストのイラストがプリントされた犬用シャツ……店には、井出さんの“好き”が詰まってます。そんな店内を見て回ったり、井出さんと話したりするのがすごく楽しいんですよ!」。
定期的にエキシビションも開催され、ディスプレイも変化する。取材時はブルース・ウェーバーの名画『レッツ・ゲット・ロスト』のポスター展を開催していた。
種市さんを夢中にさせるこのショップ。どうやら相当レアなお宝が揃っているようだ。
種市さんの愛犬“トウフ”。LAのアーティスト、ナサニエル・ラッセルのアートTシャツを着ていてオシャレ。
これまで買ったものの中でいちばんのお気に入りは愛犬・トウフのTシャツだとか。トウフもかわいいけど、このTシャツもかわいい!
グランドギャラリー
住所:東京都渋谷区富ヶ谷1-5-3 岸ビル1F
電話番号:03-6407-0750

営業:11:00~19:00 水曜、第3木曜定休

 

②超ヴィンテージ品も今っぽくまとめるセンスに脱帽
「ブラケット」(渋谷)

業界きっての洋服好きとして知られる「にしのや」ディレクター・西野大士さん。そんな彼が一点モノを掘りに向かう先は、渋谷にある古着屋「ブラケット」だ。
通称“奥渋谷”にある古着屋「ブラケット」。
「古着屋は、センスが最も大事だと思うんです。’90年代のものを今っぽく見せるのはそんなに難しいことではないはずです。でも、ブラケットのように’30〜’40年代のモノなど、“超”がつくほどのヴィンテージを今っぽくまとめるのは簡単じゃない。本当にさすがだと思います」。
西野さんが感嘆するヴィンテージが並ぶ「ブラケット」の店内。
ブラケットの店主・飯田康貴さんは、ヴィンテージショップの名店「ジャンティーク」(中目黒)から独立してブラケットをオープンさせた筋金入りの古着好き。イギリス、アメリカ、フランスへ自ら古着の買い付けに出かけているという。そんな飯田さんと西野さんは長いお付き合いだそうで……。
「飯田くんがまだジャンティークで働いている時代からお世話になっています。だからもう付き合いは10年以上になりますね。ブラケットにもオープンからずっと通ってますよ。古着のアドバイスが欲しいときは飯田くんを訪ねれば間違いないですから」。
飯田さんのアドバイスで西野さんがゲットしたグルカショーツ。
こちらは、西野さんが飯田さんのアドバイスを得て購入したもの。「’40sの英軍デッドストックで状態がとてもいいのでひと目惚れ!」。ファッションのプロが太鼓判を押すそのセンス。さっそく相談に行ってみよう!
ブラケット
住所:東京都渋谷区神山町13-13
電話番号:03-6416-8079
営業:12:00~22:00 不定休
 

③すべてのアイテムに込められたストーリー
「トロ ヴィンテージ クロージング」(原宿)

フリープランナーの中根吉浩さんが一点モノを探しに通う店は、原宿と千駄ヶ谷の間に店舗を構える「トロ ヴィンテージ クロージング」だ。店主の山口眞・郁子夫妻とは20年来の付き合いだけあって、その絆は深い。「僕の好きそうなアイテムが入荷したら、メールが送られてくるんですよ(笑)」と中根さんは笑う。
落ち着いた雰囲気が漂う「トロ ヴィンテージ クロージング」の店内。
トロ ヴィンテージ クロージングは一つひとつの商品をとても大切にしていて、ダメージが強いものはリペアし、ちゃんとスチームをかけてから店頭に並べるという。商品と真摯に向き合うその姿勢は、中根さんもとても影響を受けているそうだ。
「古着屋なのにブティック感があって、店主のマイ・ワールドが伝わってくるところも好き」と中根さん。
中根さんがいつも右手にはめているゴールドのブレスレットも、10年ほど前にトロ ヴィンテージ クロージングで買ったもの。
「これは16金なんですけど、16金って、今は流通していないんです。つまり、16金であることがアンティークの証になる。このブレスレットに限らず、トロ ヴィンテージ クロージングのアイテムは、すべてストーリーがあるものを集めているから、話を聞くだけで本当に楽しいんですよね」。
同店で購入した中根さんのブレスレットは今はほとんど流通していない“16金”。まさに一点モノと呼ぶに相応しいアイテム。
トロ ヴィンテージ クロージング
住所:東京都渋谷区神宮前1-2-10 1F
電話番号:03-6447-4147
営業:12:00~20:00 不定休

話を聞いて見えてきた3人の共通点は“店主と仲が良い”ということ。素晴らしい一点モノを掘り出すコツは、良い店を見つけてスタッフとコミュニケーションを取ることにありそうだ。
そこで得られる知識もまた、オッサンの人生をより豊かにしてくれるに違いない。
 
谷本春幸=取材・文


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