連載「キャンプは、冬がいい。」
アウトドア・ラバー諸君、キャンプは夏のレジャーだと思っていないか? 玄人たちは、口を揃えてこう言うものだ。「キャンプは、冬がいい」。極寒の世界で特別なレジャーに挑んでみよう。
連載「
オーシャンズとレジャー」では、昨年親子キャンプについて紹介した。自然の中で過ごすひと時に、どっぷりハマっている方もいることだろう。ただ、キャンプラブな我々にも避けようがない難敵が存在する。それが「冬」という季節である。
すでに秋以降のキャンプでも身に沁みているだろうが、野外レジャーであるだけに、寒さからは逃れられない。ましてや雪が降り積もる中でのキャンプでは、立ち上る冷気はいかばかりか……。
憧れの白銀世界でのキャンプライフは捨てがたいが、はたして、キャンプビギナーがスノーキャンプを行うことは可能なのだろうか?
スノーキャンプに挑む舞台は、浅間山を望むキャンプ場!
ということで、1月下旬に訪れたのは北軽井沢スウィートグラス。美しく雪化粧をした浅間山が一望できる、自然豊かなフィールドだ。テント泊のほか、泊まれるツリーハウスなどのキャビンも有する、言わずと知れた高規格キャンプ場である。
この北軽井沢スウィートグラスは、雪が降り積もるほどにテント泊の人気が高まるという噂を聞きつけたのだ。
到着した我々を出迎えてくれたのは、先生役を務めてくれるマネジャーの玉井宏和さん。北海道出身の彼は、幼い頃から釣りをメインに自然と触れ合ってきた生粋のアウトドアマンだ。元々は、工学系の研究職に就いていたが、6年ほど前、かねてからの夢だったアウトドア業界へ足を踏み入れたそう。
早速、キャンプ場のカフェ&イベントスペースである「アサマヒュッテ」に入り、率直な質問をしてみることに。夏から始めたキャンパーでも、スノーキャンプってできますか?
「防寒対策をきっちりすれば、可能ですよ。真っ白になったフィールドは、雪が音を吸収し、静かで気持ちのいい世界です」。
おお、それは朗報! ただ、玉井さんからアドバイスが。
「でも、夏と冬ではギアが全く違いますし、寒さは大きな問題です。暖房器具に、底冷えを防ぐための断熱材、そして何より適した服装はマストでしょう。それに、できれば晩秋以降のキャンプを経験して、寒さが問題ないかを確認したほうがいいですね。とくに家族の場合は注意が必要です。女性は寒がる方もいるので、『冬もいける!』って感じた後で試したほうがいいですよ。じゃないと、夫婦ケンカの素になりそうですしね(笑)」。
た、確かに……。とくにギアを充実させる必要があるのは、かなり難点ではある。ストーブ導入にはちょっとした勇気が必要だ。
と、ここで北軽井沢スウィートグラスにスノーキャンパーが押し寄せる理由に気づいた。というのも、ここでは電源完備のテント場があるのはもちろん、電気カーペットや電気毛布といった暖房器具のレンタルが充実(コタツもある!)。スノーキャンプ初心者は、キャンプ場選びから慎重に行ったほうが良さそうである。
テント場でも自然でも。スノーキャンプの楽しみとは
続いて、玉井さんの経験からスノーキャンプの魅力も教えてもらった。ほかのキャンパーたちは、どんな楽しみを味わっているのでしょうか?
「ひと言で言えば、思い思いに“寒さ”を楽しんでいますね。テント内にストーブを設置して外気との差を楽しむ人も多いですし、焚き火のひと時を楽しむ人もいます。もちろん自然の表情が変わるのも魅力です。雪の結晶を観察できるのはこの時期ならではですし、木々の葉がなくなるのでバードウォッチングもしやすい。空は夏よりもずっと澄んでいて、天体観測も醍醐味のひとつですよ」。
極寒の世界で、“寒さ”を楽しみ尽くすキャンプ。夏や秋とは違う楽しみがそこには待っている。これからの実践に期待が高まるというものだ。
さて、連載初回、玉井さんとの話でわかったのは、以下の3点だ。
■スノーキャンプ、3つの心得・スノーキャンプでは、万全のギアと服装で臨むべし。
・“寒さ”を楽しむことこそ、スノーキャンプを味わい尽くすコツ。
・万が一の時のために、設備の整ったキャンプ場を選ぼう。
次回は挑戦の第一歩「防寒着とギア選び」について。身を守るために最も身近な服装、そしてシェルターとなるテントの話である。乞うご期待。
【取材協力】北軽井沢スウィートグラス住所:群馬県吾妻郡長野原町北軽井沢1990-579 電話番号:0279-84-2512(予約センター) ※営業時間・定休季節により変更 ※水曜定休https://sweetgrass.jp澤田聖司=撮影 芋川 健=取材・文