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2019.02.11

ファッション

帰省したら必ず立ち寄る、ファッション業界人の「地元のいい店自慢」

いいモノとのいい出合いが待つ店はどこにある? ググれば数万の検索結果が出てくるが、「選べないし時間もないし」というのが大人の本音。で、頼りになるのはやっぱり生の声。ファッションのプロに聞きました。「あなたの好きな店ってどこですか?」。
本特集「僕らの『欲しい』が見つかる店」では、ファッションのプロがプライベートで通う名店の数々を紹介してきたが、やはり彼らの生活エリアの都合上ショップがどうしても東京に偏ってしまいがち。だが、言うまでもなくいい店は全国にある。
そこで今回は、ファッションのプロが通う“地元の名店”にフォーカス! みなさん「帰省したら必ず立ち寄る店はどこですか?」。
 

①東京で失われた古き佳き時代の空気が流れるビル
「アメリカヤ」(山梨県韮崎市)

「『慶人、そういえば韮崎の『アメリカヤ』がオシャレになってたぞ!』ーーこないだ、久しぶりに山梨に帰ったときの父親の第一声がこれでした(笑)」。
そう話すのは、アーバンリサーチのPR・中山慶人さんだ。アメリカヤは1967年、韮崎駅近くの商店街にオープン。5階建てのビルには喫茶店やお土産屋などが入り、地元のシンボルとして賑わった。しかし、15年ほど前にオーナーが亡くなってからは空ビルに。かつての活気は影を潜めた。
韮崎中央商店街のランドマーク的存在として地域の住民に親しまれる「アメリカヤ」。
そんなアメリカヤに2018年4月、再び命を吹き込んだのが、4階にオフィスを構える設計事務所・アトリエいろは。彼らの手で再生されたアメリカヤは1階にカフェ、2階にはDIYショップ、3階にはレコードショップや書店などのテナントが入り、5階にはコミュニティスペースが。駅近にある小型の複合商業施設、といった具合だ。
5階はコミュニティスペース。待ち合わせや仕事など使い方は自由で誰でも使える。予約をすればイベント会場や会議室としても利用可。
SNSでの情報発信が上手なので、スタッフさんたちの顔が見えて親近感が沸きやすい。あと、歴史ある建物だからノスタルジックな気分になれるし、趣味に使えるお店も多い。ここへ足を運ぶ要素はたくさんあります」。
スタッフの許可を得れば屋上へも行ける。富士山が見えてとてもキレイな景色だ!
「僕は新しい建物や空間がどうも苦手で……初対面の人と接するときって気を遣いますよね。それと似た感覚です(笑)。アメリカヤは長年使われていた壁や建具をうまく使ってリノベーションしているので、程良い古さも残っていて、親しみやすい。古い建物が壊されてどんどん新しいビルが建っている東京では味わえない心地良さがありますよ」。
アメリカヤ
場所:山梨県韮崎市中央町10-17
電話:0551-45-7291
営業:10:00~18:00
 

②長居を覚悟して行ってほしいセレクトショップ
「A.B.C.」(富山県砺波市)

キート/ミスターエブリデイズのディレクター・武田裕二郎さんが地元・富山に帰ると必ず行く店が、砺波市にあるセレクトショップ「A.B.C.」だ。この店には、店主の高松俊之さんを訪ねてくる人がひっきりなしだという。
白を基調にした清潔感ある「A.B.C.」の店内。明るくて商品も選びやすい。
「店主の高松さんと話しているといつの間にか時間が経ってしまいます(笑)。話していて飽きないし、楽しい。店内は明るくて清潔感もあるし、とにかく落ち着くんですよね。毎回早めに帰ろうと決心して行くのに、ついつい長居しちゃう。良くしてくれる先輩の家に遊びに行って、そのまま泊まったりする感覚に近いですね」。
窓が大きく、日中は自然光がたっぷり入る。
「今のメンズ市場って、大きなトレンドがないから、商品の制作段階では売れるかどうかの予想がつけ辛いんです。特にバイヤーにとっては厳しい状況ですよね。けど、A.B.C.は小さな町のセレクトショップとして、15年以上も続いているんです。地域のみんなに本当に愛されている証拠だし、ついつい長居しちゃうのは僕だけじゃないはずですよ」。
ローカルの服好きオッサンが集まるA.B.C.には、自然と地域の情報も集まってくる。そして武田さんのように、帰省したときにフラッと立ち寄る人も少なくない。地元に残った人と地元を離れた人とをつなぐ、ハブ的な役割もA.B.C.は担っているのである。
A.B.C.
場所:富山県砺波市幸町5-5
電話:0763-34-8185
営業:11:00~20:00
 

③地元のみんなが好きだから、地元のみんなが自然と集う
「ジェームス新潟」(新潟県新潟市)

「目当てのブランドがあって、自然体でくつろげる店。それって最高ですよね?」。
A_UNN PRプレスチーフの高畑 誠さんが、新潟へ帰省したときによく行く店が「ジェームス新潟」。高畑さんお気に入りのブランド、スタジオオリベやジェームス & コー スタンダード シャツなども取り扱われているのも高ポイントだとか。
新潟のお洒落な大人に愛される「ジェームス新潟」。
「地元の新潟にスタジオオリベを扱うお店があるのを知ったときは、テンション上がりました。同じアイテムでも、他店で買うよりジェームス新潟で買うことのほうが増えたと思います。地元だからこそ、このあたりの空気が心地良く感じる。そんな空気の中でする買い物は、気分が良くて特別です」。
創業当初からすべて国内生産で作られている、スタジオオリベのクライミングパンツ。タテ・ヨコに伸びる2-WAYストレッチを採用しており快適さ抜群!1万6000円/スタジオオリベ(ジェームス新潟 025-229-3756)
「実は、もうひとつ通う理由があるんです」と高畑さんは話す。
「ジェームス新潟のビル1階には、東京・代々木にあるイタリアンレストラン『ライフ』が併設されているんです。アットホームな雰囲気で、地元の人はみんな大好き。たまに同級生と偶然会ったりなんかして、そこで刺激をもらうことも少なくはないです。ちなみに、ここの柚子胡椒入りカルボナーラは大好きなメニューのひとつです」。
「ジェームス新潟」が入るビルの1階にあるイタリアンレストラン「ライフ」。雰囲気がとてもよくて、高畑さん曰く「ついつい長居してしまいます」。
ジェームス新潟
場所:新潟県新潟市中央区東堀通5-438
電話:025-229-3756
営業:11:00~19:00
青春時代を過ごした場所で、東京とは違った空気を楽しむ。そんな時間を愛おしく思えるのも、我々がオッサンになったからかもしれない。みなさんには、地元に帰ったときに必ず立ち寄る店がありますか? 
 
谷本春幸=取材・文


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