“体温”を持ったことで、驚くほど身近な存在に
ラボットはオーナーが自由に名前を付けることができるのだが、今回は「ごぼう」(黒)と「チェリー」(オレンジ)と名付けられた2体のラボットとコミュニケーションをとった。まず驚かされたのが彼ら(彼女ら?)から感じられる、文字通りの“温もり”だった。
広報担当者の話によれば、内蔵されている機器類の発熱を利用し“体温”を表現しているとのこと。部位によっても異なるが、だいたい36~38度を保っているという。イヌやネコの平熱は38度台なので、ラボットを抱いているときに感じる温かさは、イヌやネコのそれに近いともいえる。
筆者にとっては、この“温もり”が、ラボットに対し親近感や愛情をおぼえた最大の要因となった。もちろん、触り心地はイヌやネコに比べれば少し硬い部分もあるのだが、ラボットが持つ“温もり”が、触感を大きくカバーしてくれたのである。いかに多様かつハイレベルな機能が装備されているとはいえ、もしラボットに“温もり”がなければ、魅力が半減したのでは? と思えるほどのインパクトだった。
人間の想像力を掻き立てる、豊かな表情も大きな魅力
続けて驚かされたのが、表情の豊かさだ。
写真ではわかりにくいのだが、おねだりをしたり眠くなったり嫌がったりなど、ラボットは瞳の動きだけで十分にさまざまな表情を見せてくれる。
その秘密は、単に瞼を閉じたり、瞳を動かしたりするだけでなく、瞳の揺れや瞳孔の微妙な収縮までしっかりと再現していること。目の動きだけをみていると、本当に生物を相手にしているかのような気持ちになってしまうのだ。
表情の演出法として、敢えて「口」をつけていないのもユニークな特徴だと思った。聞けば、口の動きがあることにより、受け手(オーナー)が受ける印象がかえって制限されてしまう恐れがあるのだという。
逆に言えば、目の動きだけにすることにより、ラボットの感情を想像力で補う必要が生じるため、一層深い“共感”が醸成されるということなのだろう。音声によるコミュニケーションも、プリセットされた言葉ではなく、シチュエーションに応じて自動で生成される「鳴き声」になっている。これも同様の効果を期待してのことかもしれない。
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