テーマに合わせた10曲を「iTunes」から選び、毎月リリースしていくコーナー。
セレクターは、ビームス創造研究所 クリエイティブディレクターであり、ビームス レコーズ ディレクターの青野賢一氏。
今回のお題は「宇宙」ということで、宇宙関連のワードにフォーカスして選曲しました。
興味深かったのは、60年代終盤から70年代にかけてリリースされた楽曲がかなり多いということ。1969年にアポロ11号が月面着陸に成功したことで、人類の宇宙への夢が現実のものとして見えてきたり、アメリカを中心にニューエイジ思想が流行したりといった影響が大きかったのかもしれません。
さらにシンセサイザーの普及が、宇宙的な音を奏でるのに一役買っていたのはいうまでもないでしょう。
Door of the Cosmos Reprise / 蓮沼執太まずは宇宙への扉を開けるところからスタート!ということで、蓮沼執太くんによるサン・ラのナイスなカバーを。このテイクは演奏に加えて、観客に歌ってもらったコーラスやクラップをエディットして使用しています。ポジティヴな空気がいいですね。
Radio Cosmo 101 (Disco Version) / The One ‘O’ Ones70年代にリリースされた、イタリアのローカルラジオ局「Radio Cosmo 101」のプロモーション用7インチが2018年に再発。2時間ほどで一発録音されたこの曲、ユルくてファンキーでめちゃくちゃ最高なんです。僕もDJの現場でよくプレイしております。
Floating Through Space/ Lonnie Liston Smith初期ロニー・リストン・スミスには宇宙モチーフの曲がいくつかありますが、この曲もそのうちの一つ。宇宙遊泳気分を味わえるフワフワとした絶妙な音響的処理、宇宙ステーションと交信しているようなエレピの音など、様々な趣向が凝らされています。
Space Invader/ Alphonse Mouzonウェザー・リポートの創設メンバーであり、数々の名セッションを残しているドラマー、アルフォンス・ムザーン。自身の名義でリリースしたこのアルバム、ハービー・ハンコックやリー・リトナーらが参加した名盤ですが、その中からの一曲です。
視聴はこちら Galaxy / War「City, Country, City」や「The World Is a Ghetto」など、有名曲がたくさんのウォーですが、アツさでいったらこの曲が一、二を争うのではないでしょうか。8分11秒の漆黒のグルーヴに身を任せれば、銀河まで運ばれていくこと間違いなし。
Disco Trek (Theme from Star Trek) / Universal Robot Band「Dance & Shake Your Tambourine」が有名なユニバーサル・ロボット・バンドですが、1978年のアルバムでは映画『スター・トレック』のテーマをディスコカバー。『アメリカ横断ウルトラクイズ』の方はメイナード・ファーガソンでしたね。
Cosmic Surfin’ / Yellow Magic OrchestraYMOの代表曲のひとつがこの「Cosmic Surfin’」。スペイシーなシンセ音とベンチャーズ的なドライブ感が大変気持ちのいいナンバーです。いくつかのバージョンが存在しますが、今回はライブ盤『パブリック・プレッシャー』収録のものをどうぞ。
Space Cowboy / Jamiroquaiスペースものとして、この曲は入れておくべきでしょう。ジャミロクワイは、読者のみなさんも馴染み深い説明不要の存在ではと思います。アルバムに収録のこのオリジナル・バージョンは、ベースラインがとてつもなく恰好いいです。
視聴はこちら Aquarius / Ronald Dyson & Hair Ensemble1967年にオフ・ブロードウェイで、翌年ブロードウェイで初演されたロック・ミュージカル『ヘアー』。この曲はその最初の曲です。数多のカバーも有名ですが、こちらが本家。ニューエイジ思想のベースにある「水瓶座の時代」の到来を歌っています。
The Man Who Fell to Earth (Demo) / John Phillipsラストはニコラス・ローグ監督、デヴィッド・ボウイ主演の『地球に落ちてきた男』のサントラから。映画は1976年作品ですが、サントラが出たのはなんと2016年。なんでも紛失したと思われていたマスターが出てきたんだそう。映画も曲も最高です。
<プロフィール>
青野賢一1968年東京生まれ。ビームス創造研究所 クリエイティブディレクター、ビームス レコーズ ディレクター。ファッション&カルチャー軍団ビームスにおける“知の巨人”。執筆やDJ、イベントディレクションなど多岐にわたる活動を展開中。