連載「俺の家電」
服に靴、車、腕時計。それに家。男がこだわるべきものは多々あれど、より上の生き方を求めるなら、一度家の中を振り返ってみてほしい。そこに並んでいる品々で満足か? QOLに影響大な家電たち、そろそろ「俺の!」と胸張れる逸品を選ぶ時では? 知識豊富な二子玉川 蔦屋家電のコンシェルジュに伺った、本当に持つべき傑作をレクチャーする。
ここ数年、夫婦でカフェ巡りにハマっている。話題のサードウェーブはもちろん、駅前の純喫茶にも通い、豆の種類や淹れ方の違いを勉強しているのだ。おかげで2人とも舌が肥えてしまい、インスタントには戻れなくなってしまった。
もっとコーヒーに深くなろうとゲットしたのが、IoTスマートコーヒーメーカーのGINA (ジーナ)。時間の取れる週末は、こいつで究極の一杯に挑戦する。連動する専用アプリに記録した過去のレシピを参考に、ビーンズの銘柄や抽出時間を調整。だんだん自分の目指すテイストが見えてきた。最近は妻のお気に入りショップの味を再現しようと、こっそり研究中。近々披露して驚かせてやる予定だ。
狙った味を試行錯誤して表現する
アナログだからこその楽しみ
’18年9月に発売されたジーナは、一流バリスタよろしくさまざまな抽出方法でコーヒーが淹れられる逸品。豆を挽けたり、勝手にお湯が湧いたりといった、全自動的機能はない。だからこそ、自らの手でさまざまな点をコントロールでき、たっぷりとこだわれる。
抽出は3種類可能。まず、コーヒー粉にお湯を注ぎ、フィルターに透過させて成分だけ落とすプアオーバー。いわゆるハンドドリップだ。そして、粉をお湯に一定時間浸して、滲み出させるイマージョン。エアロプレスやサイフォンと仕組みは同じである。もうひとつが近年注目のコールドドリップで、水を一滴ずつ垂らし、じっくりと抽出する方法。いずれも、セットさえすれば完成というものではなく、人の手による調節が欠かせない。このアナログ感が、コーヒーを淹れる作業を娯楽に変えてくれる。
無料専用アプリによって
世界中のユーザーと情報共有
しかし、アナログ一辺倒ではないのがジーナの魅力。無料でリリースされているアプリと連携し、使用した豆の量や蒸らし時間、湯量などを自動で記録できるのだ。そのデータは次回の参考になるだけでなく、世界中のコーヒーフリークと共有が可能。他ユーザーのレシピを再現することだって出来てしまう。
蔦屋家電の食コンシェルジュ、磯野泰功さん曰く、「プロのバリスタも使用し、情報を公開しています。しかも、気になるレシピがあれば、アプリが各分量、時間などを教えてくれるので、家に居ながら有名店の味が再現できる場合も」。
プアオーバーとイマージョンにおける、豆の量や蒸らし時間などを正確に記録、再現できるだけではない。コールドドリップならば、水滴のリズムまでデータ化。水が落ちるのと同じ間隔で、スマホの画面をタップすればOKだ。「ほとんどの計量は自動ですが、一部に人の手が必要となります。このアナログとハイテクのミックス具合が面白いんです」。
ジーナ
下部のパーツは豆や湯の量を計測するスケールとなっている。フル充電で約20時間稼働するから屋外での使用もOK。
取り外し可能なコールドドリップグラスは、丈夫なボロシリケイトガラスを採用。専用のステンレスフィルターも付属する。
湯やコーヒーの量を感知、計測し、リアルタイムにスマホアプリに転送するのが、下部のBluetoothスマートスケール。マイクロUSBによる充電式で、稼働時間は最大20時間ほどにも及ぶ。「タフなバッテリーですから、アウトドアでも十分に楽しめます」。
さらに、コールドドリップ用グラスとフィルターは、容量750mlのピッチャーにすっぽりと。抽出方法3種のツールがコンパクトにまとまるから、持ち運びはもちろん、収納場所に困ることもない。
「国内最大級のコーヒーの祭典である東京コーヒーフェスティバルで、多くの愛好家を魅了。使用感の優秀さだけでなく、スタイリッシュなルックスも非常に高い評価を得ました」と磯野さん。コーヒー文化が古くから根付いているスロベニアで開発されたジーナ。その注目度合いは、日本が誇るコーヒー機器メーカー、カリタとのコラボケトルが製作されるほど。誰もが知る存在になる前にチェックするのが正解かも。
【取材協力】 二子玉川 蔦屋家電 住所:東京都世田谷区玉川1-14-1 二子玉川ライズ S.C. テラスマーケット 電話番号:03-5491-8550 営業:9:30〜21:00(音楽・文具・BOOKは9:30〜22:30) 定休日:1月1日金井幸男=取材・文 きくち よしみ=撮影