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プログラミングの手順を「正しく」教えたいというコンセプトが◎

「エンボット」のプログラミングは、専用アプリをインストールしたスマートフォンまたはタブレットで行う。まずは、ロボット本体と端末をBluetoothで接続する。

ロボットを動かすプログラミングのスタイルが、豊富に用意されている点は、「エンボット」最大の特徴と言えるかもしれない。
基本となるのは、命令が収められたブロックを並べてプログラムするモードだ。腕を動かす、ランプを点滅させるといった基本動作の制御は、このモードで行う。

パーツを取り出し順番に並べていくだけで簡単なプログラムが組めるため、他のプログラミング教育ガジェットでも用いられているのだが、「エンボット」のそれは少しだけ高度になっている。

例えば、ロボットの腕を動かす場合「サーボ1(通常は左腕)の角度をXX度にする」というように、細かな設定ができるようになっているのだ。
また、プログラムをする際、先頭に必ず文法でいえば主語に当たる「何を動かすのか」を指示する必要がある点も興味深いところ。具体的には、動かすロボットの名前(Bluetooth接続時に指定する)を入れなければならないのである。

この点だけでもプログラムの基本文法を正しく教えたいというコンセプトを強く感じた(複数のロボットを操作することを想定しているのかもしれないが)。小さな子供向け(対象年齢は一応6歳以上)として、ここまで“正しさ”にこだわっている製品って、意外と少ないのではないだろうか。
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他の製品にはない高度なプログラムが可能。大人向けの教材としても好適

モードを変えることで、条件分岐(if文)や繰り返し(for)などを使った複雑なプログラムができるようになるのも、同種の製品にはなかなか見られない特徴だ。


腕を動かす、ランプを制御するといった動作は「function(関数)」の中に収め、関数を使う順番や条件を別画面で指示するという手順は、まさに本格的なプログラミングそのもの。それだけに、正直このレベルになると小学生高学年でも難しいのでは? という気もするのだが、公式サイトにチュートリアルやドリルが用意されているので、それらを参照しながら、まさに「勉強」していけば良い、ということなのだろう。このあたりも、玩具というよりは明らかに教材という感じだ。
ちなみに、さらに高度なモードを選ぶと、スマートフォンやタブレットに内蔵されたセンサーを使い、端末の動きにあわせてロボットを制御するといったこともできる……みたいなのだが。残念ながら今回は、筆者のスキル不足でそこまでたどり着くことができなかった。

何度か触れたように、玩具というよりも教材という印象が強い「エンボット」。親子で使ってみる場合、大人側にある程度プログラミングのスキルがなければ、その魅力を最大限に発揮することは難しいでは、というのが試用した率直な感想だ。実際には、指導者がいる状況で教材として用いられるケースのほうが多いだろうから、それで問題はないのだろう。

一方で、本来の用途ではないのかもしれないが、プログラミングの基本から中級程度の知識を得たい大人向けの教材として、「エンボット」はかなり魅力的な製品とも考えられる。特に条件分岐や繰り返しを含む、本格的なプログラムの構造と作成手順を理解するためには、打ってつけの教材だと思った。
という点では、先にこっそり学んでおけば、子供に教えることもできるわけだから、やっぱり家庭でも使える教材なのかも? いずれにしても5000円という低価格で、ここまでできるのは凄いの一言。まずは自分のスキルアップのために購入してみてはいかがだろう。
[問い合わせ]
キッズプログラマーズ スターターキット! embot
www.embot.jp/
文=石井組郎

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