数字を使った品番のヒミツや、
コダワリすぎで職人も不機嫌になった復刻作など、ニューバランスの魅力について掘り下げてきた本企画。
そのトリを務めるのは2018年のスニーカーシーンを席巻した「X-90」。
スマートなフォルムにバラエティに富んだ素材使い。全体としてみればフューチャリスティックな佇まいながらどこか懐かしさが感じられる。それもそのはず「X-90」は、これまでの集大成といって過言ではないモデルなのだ。
ニューバランスのゴールデンエイジといっていい’90年代を象徴する990番台のシリーズ。1982年に誕生した「990」にはじまる同シリーズは、最新作の「990v4」で12代目に突入した。35年以上に及ぶ歴史のなかから生まれた数々のスペックを一足に詰め込み、現代のテクノロジーでブラッシュアップさせたのが「X-90」なのである。
ミニマルを極めたアッパーは「990v2」「991」「992」「993」がデザインソースになっている。小さめのNロゴ、左右非対称のカラーストラップ構造がそれだ。
これが「993」である!
スエードとメッシュパーツの質感、トウのパーツのカッティングなどなど、上の「X-90」と見比べると、いくつかの共通項が見て取れる。ルーツを理解しながら楽しむスニーカーライフも悪くない。
また、ソールには「990v3」のデコラティブなパターンや「992」のボリューミーなシルエットをブレンド、そして軽量でクッション性と安定性に優れた「REVLITE(レブライト)」でアップデートした。
990番台シリーズの系譜を感じさせるボリュームのある後ろ姿が特徴的だ。
これが「992」である!ニューバランス誕生100周年の年にリリースされたのが「992」。低く設定されたトウに高さを持たせたヒールが端正なシルエットを作り出す。この雰囲気を「X-90」は確かに受け継いでいる。
’90年代のポップカルチャーを彷彿させる「X-90」はまさしくモダンクラシックの模範回答。もちろん、いまどきのファッションにももってこいだ。
「X-90」は、伝統への敬意を忘れなかったニューバランスだからつくりあげることができた。温故知新という褒め言葉がこれほどふさわしいモデルはそうはないだろう。
[問い合わせ] ニューバランス ジャパンお客様相談室 0120-85-0997http://shop.newbalance.jp竹川 圭=取材・文