僕らが愛してやまない「定番」という響き。そこに固執してしまうと、まるで進化を遂げない“ファッション界のシーラカンス”化する恐れも。
トゥモローランドに集うのが、ベーシックにアップデートを加えた、いわば「Ver. 2.0」的進化系アウター。この新鮮さ、やみつきになる?
「海の香り強まる」
ピーコートの身頃にリブ編みのショールカラーを備え、ドンキーコートをミックスしたような顔立ちに。ともに海辺のミリタリー&ワークウェアがルーツだから、このハイブリッドは大歓迎!
「新感覚ダッフル」
トグルフロントにストームパッチがダッフルコートのようだが、なんだか様子が異なる。フードがなく幅広のラペルとなっているのだ。骨太とエレガンスが同居するキャメルカラーのロング丈。ダークカラーで引き締めたい。
「しわ感が効いた渋色」
ナイロンポリ素材を後染めし、独特のしわ感を表現したステンカラーコート。上品なキャメルカラーにハズしをプラス。古着感漂うひょうたんキルトのライニング付き。
「一味違う後ろ身頃」
チェックと同系色のコーデュロイ襟を備えたロング丈のハンティングコート。後ろ身頃がギャバジン素材という変わり種。ガンクラブチェックが醸すオーセンティックな雰囲気と裏腹なデザイン性が2.0的だ。
「魔法をかけたら……」
襟さえあれば、シンプルなバルカラーコートといったデザインだが、首元には襟の代わりにスポーティなフードを備えフレッシュなルックスに。まるで魔法使いが着ていそうなデザインの1着は、上質なウールメルトンのダブルフェイス仕様で、まさに魔法がかかったように軽快に羽織れる。
着こなしのコツは先進性を加えてみるかそれとも……
文字どおり、2.0的ヴァージョンアップがなされたコートに備わった、少しの個性を最大限活かすのが、着こなしの大きなコツとなるだろう。となると、ほかにベーシックなものを選びつつ、コートの個性を引き立てるのが、まずは定石だ。色落ちしたブルージーンズやベーシックなチノなどと合わせるだけで、新鮮さが楽しめる。
さらに鮮度を上げたければ、ほかに合わせるアイテムも「2.0的」、つまりアップデートが施されたものを。タック入りでハンパ丈のスラックスや、デザインされたスウェットトップスなどがおすすめ。足元は、ハイテクスニーカーを合わせるとモード感あるスタイルに。カラフルなものでも、シックなものでも、お好みで。
芹澤信次=写真(人物) 星 光彦=スタイリング AMANO=ヘアメイク 髙村将司、いくら直幸=文 長谷川茂雄=編集