世界は単純化していくのだから
グローバル化が進展し、世の中がどんどん多様化する時代において、ハイコンテクストな社会、つまり多くの共通基盤を持った人で構成する社会や組織は徐々に少なくなります。ハイコンテクストな社会では、微細な言葉遣いや服装、振る舞いなどがメッセージを多分に含みます。例えば、ネクタイをして場に臨むことが「礼儀」を表すことになります。
しかし、ネクタイにそういう意味を感じる共通基盤のないローコンテクストな社会においては、暑い最中に汗をかきながらネクタイをしている姿を見て、「なぜ、あの人は暑いのに滑稽な姿をしているのだろう(バカだな)」と思うかもしれません。
そして、おそらく世界はどんどんそんなローコンテクストな世の中になっていきます。単純化していくのです。ファッションがどんどんドレスダウンしていくように、言葉においても細やかな表現よりも、ファクトとロジックと数字、言い方よりも中身だと、シンプル化していくのです。
この流れの中、いつまでもオッサン世代の言語コンテクストにこだわっていては、「瑣末(さまつ)なことにこだわり、本質を見ない人」という烙印を押されてしまうかもしれません。
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。