──出張に行くときも本は欠かさない?
平山「モデルを始めてから仕事でヨーロッパに行くようになったんですけど、行き帰りの飛行機の中はもちろん、ファッションショーに出るときも待ち時間が長いから本を読んで時間を潰したり。今も海外に行くときは5〜6冊の本は持っていきますね」。
──え! そんなに!
平山「うん。何もないと本がほしいな、って感じます。でも最近は俳優の仕事で台本を読む機会が増えて。毎回、クランク・インの前や撮影初期のほうで役作りに没頭する時間があるんですけど、実はそういうときに小説の話が入ってくると、ちょっと役作りしにくいんですよね」。
──確かに脳内でストーリーが混ざりそうですね。
平山「だから、最近は本を読めるときはある程度の落ち着きがあるときです。それが逆にすごく解放的で。読書がまさに“余暇”になってます。ひょっとしたら今がいちばん、本を読む幸せを感じているかもしれません(笑)」。
──(笑)。ちなみに、どんなときに本を読むことが多いんですか?
平山「家では映画やドラマを観ることが多いから、やっぱり仕事の待機時間かな。ドラマでは5〜6時間の待機もざらで、午前中に撮影して、夜またスタジオ入りすることだってあります。『あ、今日は空き時間にクルマやカフェで本を読めるな』って思うと、家を出るときからちょっとうれしいです(笑)」。
──家でまったり晩酌しながらは?
平山「僕はお酒が好きだから、飲み始めちゃうと話が頭に入ってこなくなるからね(笑)。でもほろ酔い程度なら。自分の部屋でウイスキーを飲みながらっていう本の読み方は至極の時間です」。
──そもそも論として、そこまで読書が好きな理由はズバリなぜでしょう?
平山「本は自分で想像ができる。イメージは無限大じゃないですか。例えば小説の映画化が難しいと言われるのもそこで、『読者それぞれが作り上げるイメージとの差異を埋められない』っていう現実があると思うんですよ。もちろん実写には実写の良さがあるんですけどね」。
──なるほど。
平山「小説を読んでいるときは、その世界が自分の頭の中で勝手にぐんぐん拡がっていく。登場人物の身なりや風貌、そして声──。イメージが膨れ上がるのがすごく楽しいし、その登場人物に自身を投影することだって出来るんです。現実逃避じゃないけど“フィクションの中で生きられる”と言い換えてもいい」。
──小説の世界を追体験する感覚ですか?
平山「そうですね。それに、小説であれエッセイであれ、自分が知らない世界を知ることで新しい知識がインプットできる。自分の視野を広げる助けにもなってると思う。ネットで検索した情報より、本から吸収したことのほうが熱量がある気がしますね、って、ちょっと古いオッサンみたいですけど(笑)」。
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