夢に出てくる足は「基盤、安定、理解」を象徴しているらしい。足は自信と自立を表すのだそうだ。だから私たちは、履くものに関してあれこれ好みがうるさいのかもしれない。
ハイテクスニーカーで足どりが軽やかになると、どことなくカラダの調子も良い気がする。だけど、本当に「ピッタリくる」スニーカーを見つけるのは難しい。
そこで今回は、業界で活躍するライター5人に「夢のスニーカー」をデザインしてもらった。思い通りの夢は見られないかもしれないが、少なくとも理想のスニーカーなら、多少は思い通りにできるから。
アレイリ・メイの夢は「溶岩の上も歩けるスニーカー」
私の夢のスニーカーは、『宇宙家族ジェットソン』や『バック トゥ ザ フューチャー』の世界に近い。月面の岩や溶岩の上を歩けて、宇宙空間だって跳躍できて、『アイアンマン』と同じように銀色のシールドを張り巡らすボタンもついてる。
色は絶対にスペースグレー。ほのかにライトブルーとウルトラバイオレットがかったスペースグレーだけど、灼熱の溶岩の上では、カメレオンみたいにレッドかオレンジへと変わる。足首にストラップを巻くデザインのハイトップで、ブーツに負けないくらいヘビーだけど、ソールはナイキのバブルソールで、踵のうしろに「A」って書いてあるの。
アレイリ・メイはロサンゼルス出身のデザイナー兼モデル兼スタイリスト。ルイ・ヴィトンやナイキ、ヴァージル・アブローなどとコラボレーションを行っている。
ジュリー・ゼルボの夢は「シーズンを問わないスニーカー」
普段スニーカーを履くことはあまりないけど、履くときはいつもセリーヌのプリムソールトレイナー。実用的で、従来のスニーカーみたいに面倒臭くないのが好みなの。つまり、大仰でみっともないトレンドの正反対。これ、本当の話よ。
一目でどのファッションシーズンのモデルかわかる靴は、好きじゃない。あまりに流行を追った靴には、しらけてしまう。夏以外、たいていブラックの服で通すから、組合わせやすい濃いめのカラーがいいな。
ジュリー・ゼルボは弁護士であり、第一線の法律、ビジネスおよびカルチャー関連のニュースや分析を発信するメディア、TFLの創設者兼編集長である。
アヴァ・ニルイの夢は「ロケットブースターや電話もついたスニーカー」
私の夢のスニーカーは、スタンダードなホワイトのナイキ エアフォース1。だけど、足元を照らすLEDライトのパネル付き。おまけにケブラー繊維でライニングしてあるから、しっかり足を守ってくれる。踵にはスピードを出せるロケットブースターだけじゃなく、接触と危険を回避するフォース フィールド テクノロジーが搭載されている。
アイレットの一つずつに超小型のCCTVカメラがインストールされていて、日記代わりに、毎日がビジュアルに記録される。撮影した動画は、ソールに内蔵したWi-Fiルーターを通して、サーバーへアップロード。映画『ゲット スマート』に出てくるみたいに、ソールには電話も隠されているから、連絡できずに困ることにない。
アヴァ・ニルイはニューヨークを拠点に活躍するHelmut Langのデジタル ソーシャル エディターである
メラニー・サンチェスの夢は「スクリーン搭載のスニーカー」
私が最初に自己表現に目覚めた記憶のひとつは、ハイスクール時代に遡る。当時13歳だった私と友達のあいだでは、バックルがLEDスクリーンになったベルトが流行りつつあった。私はそのベルトが欲しかったけど、本当に欲しかったのは、伝えるべき何かだった。ウエストのスクリーンで自分を表現するとしたら、私全体をもっとも端的に表現する、簡潔な語句を探さなくてはならなかった。
私の夢のスニーカーは、それと同じように、スウッシュか、そうでなかったら爪先の部分にLEDスクリーンがあって、プログラミングした言葉や文字や数字を伝えることができる。スニーカーをきっかけに「なぜ?」を問いかける対話が始まればいいと思う。スニーカーのスクリーンに掲示された、ちょっとした字句がそのきっかけを作るんじゃないかな。
後続バージョンは、全体がパネルで、どんなコンテンツだってフィードできるスクリーン機能を備える。ランニングシューズの上で、ひいては足の上で、例えば全速力で疾走するチータの動画が流れるわけ。
メラニー・サンチェスはイメージおよびブランディングのディレクションを行うニューヨーカー。ナイキ、KITH(キス)、アディダスなどでスポーツウェアおよびフットウェアのプロジェクトを手掛けている。
アラベル・シカルディの夢は「太陽エネルギーで光るスニーカー」
私が大好きだったスニーカーの最初の一足は、キャップに書いてある景品が貰える、ボトル入りコカ・コーラのキャンペーンで、運良く手に入れた、純白のジョーダン。ハイスクールの生徒だった私は、「フットロッカー」へ行って景品を受け取ったとき、大きな満足感に満たされたことを覚えている。
夢のスニーカーを特注できるとしたら、とにかく、実用優先。ドアに向かうまでに、片足ずつ、片手だけで、2秒で履ける。全体がブラック。マットなファブリックで、今持ってる足袋型スニーカーみたいに、先が割れたラバーソール。応答性クッションエンジニアリングの採用で、自然に姿勢が少し前傾になるから、ほかの靴より速く歩ける。
アッパーは縫い目がなくて、サイドで保護レイヤー付きのジッパーを開閉するタイプなので、着脱が簡単。なにしろ、未来のデザインは履きやすさの一語に尽きる。さもないと、時間を浪費するだけだ。素材はメッシュ、またはレザー。ファブリックはなし。
さらに太陽エネルギーで光るスニーカーを希望する。そうすれば、光速で走ってるつもりになれるし、理論的には光速で走ることも不可能ってわけじゃないんだから。永遠に12歳のままの私は、いつまで経っても、子供用の光る靴が羨ましくて仕方がない。
もうひとつ、製造過程はちゃんと透明性が確保されていて、エシカルな製品であること。だって、夢のシューズ、っていう質問だったよね?
アラベル・シカルディは美容とファッションを扱うフリーランスライターで、『TeenVOGUE』、『ELLE』、『Allure』、『NYLON』、『i-D』およびSSENSEで執筆している。
元記事は
ssense.comより。