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2018.10.22

あそぶ

ウィリアム・エグルストンに憧れて。熊谷隆志の写真の原点

ファッションを軸にライフスタイル全般への好奇心が止まらない。高い感度と鋭い観察眼を持った熊谷隆志が日々直感する瑞々しい「お洒落」をモノ・コト・ヒト、全方位的にピックアップ。誰に何をいわれようが、オーシャンズ世代の先頭をただ突っ走るオトコを、今月も追いかけてみた。
1939年、アメリカ・テネシー州生まれのエグルストンは、それまでモノクロ中心だった風景写真をカラーで撮影し、写真界に新たな価値観を作ったフォトグラファー。彼に憧れて写真を始めた僕は、世界中あちこち旅をしながら、いつしか似たような写真をたくさん撮っていた。
今回はそんな写真の一部をご紹介。改めて自分の原点を見直してみようと思います。

ひたすら憧れて今の僕の写真がある

僕が写真を始めたのは、2人のフォトグラファーの影響が大きいです。1人は高橋恭司さんで、もう1人はウィリアム・エグルストン。25年前に初めて写真集を見たときに、その色の美しさはもちろんのこと、見事な構図に感銘を受け、この感じでファッションを撮ってみたいと思ったんです。
繰り返し見ているエグルストンの写真集の数々。『Los Alamos』(Scalo Verlag Ac)や『PARIS』、『The Democratic Forest』(ともにSteidl)などがお気に入り。
さらに高橋さんが撮影したエグルストンのポートレートが衝撃的だった。写真も素晴らしいし、写っているエグルストン本人がとにかくシブくてかっこいい。ますます好きになりました。以来ずっと浮気せず、ひたすら憧れ続けています。
独学で写真を覚えた僕にとって、彼の写真は先生のようなもの。繰り返し見た作品は、僕の頭の中に刷り込まれているんです。だから、「あ、今この光で撮ったらエグルストンになるな」などと思って、撮影することもあります。
エグルストンもおそらくこのペンタックス6×7とローライで撮影しているのではないか。フィルムはKodakポートラ160を使う。アメリカで風景写真を撮ると、自然にエグルストン的なカラーになるから不思議。
絶対に超えられないとわかってはいるけれど、真似せずにはいられない。これから写真を始める人は、好きなフォトグラファーを見つけて、ひたすら真似たらいいと思います。そのほうがきっとうまくなるはず。
最近、明らかにエグルストンを意識して撮った写真を「熊谷っぽい」と言ってもらえることがあり、彼の写真は僕の糧になってくれているんだなとしみじみ感じています。
 
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気になる風景写真をピックアップしてみたら、日本、アメリカ、キューバなど撮影した場所はいろいろだし時期もばらばらなのに、なぜかトーンが似ているから面白い。
 

KUMAGAI’S ZINE

今年4月に丸の内ハウスで開催された企画展「ZINE House」に参加。『ウィリアム・エグルストンに憧れて』というタイトルで、ZINEを限定販売した。次回は写真集と写真展を目指したいです。
写真を撮りに旅に出たい!
 

熊谷隆志(くまがいたかし)
1970年生まれ。渡仏後、’94年スタイリストとして活動開始。’98年以降はフォトグラファーとしても活躍。自身のブランド、ネサーンスを手掛け、東京・駒沢ではパーソナルショップ、ウィンダンシーを運営する。また数多くのブランドやセレクトショップのディレクションにも携わり、ファッションからクラフト、ワークショップなどのモノ・コトを通して、本質的な“ウェルビーイング”を提案する。趣味はサーフィン。グリーンライフにも造詣が深い。

 
熊谷隆志=写真 町田あゆみ=編集・文


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