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2018.09.23

時計

常識の“向こう側”へ。クラフトマンシップの伝え手が語るラドー愛


他に先駆けてセラミックスを外装に用いるなど、時計界に革新的な風を送るラドー。その在り方は、各界で異彩を放つイノベイターと共通するものがある。
5回にわたって、そんなイノベーターたちに「クリエイティブ」についてインタビュー。3人目は……
山田敏夫 Toshio Yamada
1982年、熊本県生まれ。100年続く老舗婦人服店の子息。大学在学中の仏留学を契機に服飾産業への思いを開花させ、2012年、「世界一のクラフトマンシップの伝え手」となるべくファクトリエを起業。佐藤尚之氏の著書「ファンベース(ちくま新書)」でも紹介されるなど、ビジネス界も注目する人物。
信念を持った人が突き進むことで、常識は変えられるーーこれは日本の物作りの魅力を世界に発信する工場直結ブランド、ファクトリエを率いる山田敏夫さんの言葉だ。彼のイノベーティブマインドは、時計界にセラミックス革命を起こしたラドーのそれにも重なる。
彼がファクトリエを起こしたのは、日本の物作りにも「ブランディング」が重要だと考えたから。
「日本の工場は、低いコストで済む外国製と比べられていたので、どんなに品質が高くてもギリギリの価格を求められる。留学先の欧州では、日本同様高い技術を持つ職人の待遇との差に驚きました。品質と相応の価値が加味されていない価格設定こそ、日本の物作りが衰退している要因だと感じたのです」。
岡山の縫製工場で手掛けたコットンパンツ。撥水・撥油・防汚性のあるオールプルーフ加工のため液体を弾き、汚れにくいヒット作。
山田さんは、こうした問題をファクトリエで解決したいと語る。
「僕らが掲げる“適正価格”とは、中間マージンを廃したユーザーへの適正と作り手の付加価値に対する適正を考慮したもの。“語れる物で日々を豊かに”を実現するためにはデザイン、パターン、縫製、素材を高次元で融合させることが重要。
それがプロ意識の高い職人が丁寧で律儀な物作りを行う日本の工場なら可能なんです。今、僕たちの想いに共感してくれるお客様が着実に増えています。インターネット販売を通じたコミュニティも生まれています。僕は顧客も同じ革命に挑む同志だと思っています」。
千葉の工場で生産する糸染めギャバジンのステンカラーコート。
モダンベーシックな服には、新機軸の技術とアイデアを盛り込んだものも新たな価値として加えている。
「僕らの思想こそがデザインなので、華美な装飾は不要。その分、あらゆる面で精度の高い工場の技術が際立ちます。この服で、まだ誰もやっていないことをする、いわば“向こう側の世界”の住人になりたい。ラドーは既にその世界に住む先人。工業素材のセラミックスを“ブランディング”したわけですから。この時計のシンプルデザインと高精度な機械の両立は、なんだか僕らのブランドにも共通するものがありますね」。
挑戦を続ける男、山田さんの腕元でラドーがひと際輝いて見えた。
銀座のショールームでは実際に、商品を確かめることができる。
 

常識を超えて物作りを続けるラドーの姿勢に共感できます

プラズマ ハイテク セラミックスケース、43mm径、自動巻き。24万5000円/ラドー(スウォッチ グループ ジャパン 03-6254-7330)
ダイヤマスター プチ セコンド
オートマティック COSC
メタリックな輝きを持つのはラドー独自の先進的な素材、プラズマ ハイテク セラミックスケース。そこへリーフ針やシャープなバーインデックスといったクラシカルなデザインを採用した最新のラウンドウォッチ。
話題のシリコンヒゲゼンマイを組み込み、COSC(スイス公式クロノメーター検定協会)が認定する厳しい基準をクリアした高精度キャリバーを搭載。「精緻な物作りを得意とする点は日本もスイスも同じ。肌の弱い僕にとってセラミックスが抗アレルギー性にも優れるという点はうれしい情報です」と、その特性に山田さんも大満足。
 
[問い合わせ]
スウォッチ グループ ジャパン(ラドー)
03-6254-7330
www.rado.com
星 武志(エストレジャス)=写真 石川英治(Table Rock. Studio)=スタイリング 髙村将司=文

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