ショットといえばオーシャンズ世代ど真ん中のブランド、と論を進めて異論はないだろう。
フロントジッパーを初めてライダースに採用したのもショットなら、1953年に封切られたマーロン・ブランド主演『乱暴者』をきっかけにバイカーの間で火がついたのも、ステージでシャウトするラモーンズの面々が着て反骨精神の象徴になったのもショットなのだ。
そんな名門に別注をオファーしたのがフリークス ストアだった。襟まわりをコンパクトにまとめ、ダブルとシングルのいいとこ取りをしたようなセミダブルライダース。下ろしたてからエイジング風味たっぷりなテクスチャー&しなやかな着心地をもたらす、洗いをかけたシープレザー。“革新的”と自負した別注モデルは予想をはるかに超えるレスポンスが得られた。
ここで紹介するのはその好評を受けてブラッシュアップした別注の第二弾、というわけだ。
ビンテージショップにでもかかっていそうなヤれた風合いに思わず引き込まれるが、よくよくみればどこかすっきりとした顔つき。
それもそのはず、胸ポケット、チンストラップ、身頃脇のアジャスターといった男臭いスペックをことごとく排除、のみならず、ショットのアイコンともいうべき肩章に付く星型のスタッズも見当たらない。それはもちろん、全方位的にいまどきのスタイルに溶け込むことを重視した結果である。
社会の荒波に揉まれてすっかり丸くなってしまったそこのあなたの一着としても、うれし恥ずかしファースト・ライダースの一着としても打ってつけ。名を捨てて実を取る、じゃないけれど、星さえ望まなかったフリークス ストアの代わりに、星を5つあげてもいいんじゃないかと思う。
ダブルのライダースにはどうしても抵抗があるって向きにはシングルもご用意。オッサンにとっては至れり尽くせり。これ以上、なにを望む?
[問い合わせ]フリークス ストア渋谷 03-6415-7728竹川 圭=文