別荘とは、日常と異なる新しいコミュニティが得られる場
自分の別荘を地域の人にサロン的に開放するという発想は、いわゆる「別荘住まい」の王道からすれば、かなり異端といえるのかもしれない。しかし袰岩さんは、そうした発想の根本に “男が別荘を持つ”ことの意義が隠されている、と教えてくれる。
「移住と別荘暮らしの大きな違いって、生活の中心がどちらにあるかによりますよね。移住の場合は、生活をまるごと移動するわけですから、家族がいる場合、住まう環境は生活を担う女性がその主体となって決めるケースが多いと思うんです」。
確かに、
熱海に移住をした人たちの話を聞いても、妻主導のケースが多かったので、袰岩さんの説明には、かなり納得がいく。
「一方、別荘を持つということは、本拠地の家と別の生活を手に入れる機会を得るということ。特に男性って、仕事以外のコミュニティを持つことが難しいじゃないですか。でも、別荘を持つことで、仕事とも家族とも重ならない、第三のコミュニティの中で、社会に貢献したり仲間と出会ったりすることができるんです」。
“サードプレイス”という観点から別荘暮らしを考えるとき、袰岩さんが指摘する「第三のコミュニティ」は重要なポイントとなりそうだ。実際、今回のレポートを読み、別荘に対するイメージが大きく変わった人も多いのではないだろうか。
職場や家族とは違う、自分だけが知る“暮らし”を手に入れるための“別荘暮らし”という選択。そろそろ考えてみてはどうだろう?
小島マサヒロ=撮影 石井敏郎=取材・文