あっという間に過ぎ去った2018年上半期で、37.5歳が読むべき、観るべき、聴いとくべき「本、映画、CD」を一気におさらい。楽しめカルチャー! 楽しめ夏休み!
第1弾は、2018年に劇場で公開され、すでにDVDにもなっている2018年新作映画5本をご紹介。家族で楽しめる作品ばかりなので、夏休みの“家ンタメ”にどーぞ!
ゲーム世界のジャングルが舞台の笑撃ファンタジー
亡きロビン・ウィリアムズが出演して1990年代に大ヒットしたファミリーアドベンチャー『ジュマンジ』がアップグレードされて帰ってきた!
不思議な力を持つボードゲーム“ジュマンジ”の世界から子供たちが脱出を試みるという基本プロットはそのままに、“ジュマンジ”自らボードゲームからビデオゲームへと大変身。ドウェイン・ジョンソンら、旬の顔ぶれがゲーム世界のジャングルを走り回る。
’80年代の名作『ブレックファスト・クラブ』のような青春要素もミックスされて、老若男女を楽しませてくれる痛快エンタテインメントだ。
『ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル』監督:ジェイク・カスダン/出演:ドウェイン・ジョンソン、ジャック・ブラック、ケヴィン・ハート、カレン・ギラン、ニック・ジョナスほか/配給:ソニー・ピクチャーズ
www.jumanji.jp
テロ事件を題材に巨匠が描く青春ロードムービー
2015年にアムステルダム発パリ行きの列車で発生したテロ事件。阻止したのは旅行中だったアメリカ軍の若者で幼馴染みの3人組だった! 世界各地で報道されたこの事件を知ったクリント・イーストウッド監督は、事件の当事者を主演に起用。数多あるテロの実録映画とは異なる趣で映画化した。
主軸にあるのは誰にも認めてもらえなかったサエない子供たちが、信念と偶然に導かれて“運命”の最前線に居合わせた物語。政治的な要素はほとんど感じない。87歳の巨匠が撮ったとは思えない、フレッシュで等身大な青春ロードムービーだ。
人生最後の旅を行く、老夫婦のロードムービー
アカデミー賞に輝いた大女優ヘレン・ミレンとドナルド・サザーランドが、人生の晩年を迎えた夫婦に扮するロードムービー。
元文学教師のジョンはアルツハイマーが進み、妻のエラは末期ガン。ある日ふたりは古いキャンピングカーで旅に出る。向かう先はかつて文豪ヘミングウェイが暮らしたアメリカ最南端の地キーウェスト。子供たちの心配を尻目に、アメリカを縦断しながらこれまでの人生を振り返るが……。
愛嬌溢れる名演技から、生きること、老いることの悲喜こもごもが浮かび上がる。過度な感傷に陥らないユーモアのさじ加減がいい。
兄弟と姉妹、相性最悪なW犬猿ペアの抗争劇
『机のなかみ』でデビュー以来、人間のバカバカしい右往左往を独自の視点で切り取ってきた天才・吉田恵輔監督がオリジナル脚本で挑んだブラックコメディ。
刑務所帰りのチンピラの兄と地道に営業マンを続ける弟、家業の印刷工業を切り盛りするしっかり者の姉とタレント志望の美人の妹。性格も正反対で反りあが合わず、愛情より憎しみが勝っているものの、縁も切れない兄弟姉妹を窪田正孝、新井浩文、筧美和子とお笑いコンビ、ニッチェの江上敬子が妙演する。
作りたいと思う作品だけを作り続ける吉田監督のブレない姿勢にも、改めて感服。
パディントンを刑務所から救えるか!?
60年にわたって愛され続ける児童文学「くまのパディントン」。ロンドンにやってきた喋るクマのパディントンと、家族として迎えてくれたブラウン一家が巻き起こす珍騒動を描いた人気シリーズの映画化第2弾。
今回はパディントンに窃盗の疑いがかけられ刑務所へ。ブラウン家は見事パディントンを救い出すことができるのか?
ファミリー映画として第一級の愉快なアドベンチャーコメディであり、イギリスの名優がこぞって参加する豪華キャストも見物。今回の悪役はヒュー・グラント。パディントンを陥れる映画スター役を楽しそうに演じている。
村山 章=文