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移住先で重要なのは「場所」よりも「人」

以前から“海と山のある土地”で生活したいと考えていた香織さんだったが、実際に移住先を検討するにあたり“土地”以上に重要なポイントがあることに気付いたという。

「私もそうでしたが、引っ越しといえば、まず物件のことを考えてしまいがちですよね。でも移住の場合は、暮らし全体を見直すわけですから、自分たちが住む家よりも、それを取り囲む地域や、そこで暮らす人を“選ぶ”ことのほうが大切なんです」(香織さん)。
都心まで通勤圏内となる“海と山のある土地”の候補がいくつかあるなかで、最終的に熱海を選んだのは、先に移住していた家族を含め、この地で暮らす人たちと「価値観の共有」ができたからだった。
「行政と民間とが一緒になって街の再生を推進している熱海には、私たちのように“自分の暮らしは自分で創りたい”という考え方を持つ人が多く集まっているんです。彼らが主催するイベントや交流会に参加して、それを知ったことで、あらためて物件を探すようになったというのが、移住までの流れでした」(香織さん)。
「という次第で、熱海での人脈も妻任せなんですが(笑)、やっぱり気の合う仲間を得られるかどうかは、移住を考えるうえで大切ですよね。彼女も言うように、場所よりもまず人を見るのが大事なんじゃないかな。僕みたいな都会育ちの男からすると、熱海っていわゆる“田舎”とは違うところも魅力なんですよ。自然だけじゃなく街の要素もあるし、そこで暮らす人々の熱気も感じられるというか」(深志さん)。

『移住先は“人”で選べ』とのアドバイスは、これから移住を検討するにあたり、かなり参考になるはず。働き方や家族との過ごし方を含めたライフスタイル全般を、大きく変えてくれる可能性を秘めた移住という選択肢。まずは熱海を訪れ、そこで暮らす人々と接してみることが、その第一歩となるかもしれない。
 
小島マサヒロ=撮影 石井敏郎=取材・文



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