宇留野の人生から教えてもらえること
今、筆者の目の前には、柔和な表情の宇留野純がいる。初めて会ったとき、なぜ、あんなに一生懸命プレーしていたのか。愚問だとはわかっていながらも、改めて聞いてみた。
「ガンになって、それまで当たり前だと思っていたことが一瞬で当たり前じゃなくなった。“あのときもっと真剣にやっていれば良かった” って、後悔が頭の中をずっと巡っていた。もう後悔したくないから、どんなときも、つい真剣になっちゃうんですよね。」
宇留野との会話中、「もう後悔したくない」という言葉が数多く出てきた。今の環境が当たり前ではないということを知ったときに押し寄せて来た想い。そして、そんな想いは二度と味わいたくないという強い意思が、宇留野をひたむきにさせ、目の前にあるひとつのことを真剣に取り組ませた。
宇留野の生き方の根底にあるこの言葉は、僕らがこれからの時代を生き抜くうえで、大きな道しるべになってくれるのではないだろうか。
瀬川泰祐=取材・文・写真