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昔は確かに強かった

その理由は、昔と今とでは仕事の特徴や質が変わってしまったので、必要な自信の種類が変わったからではないかと私は思います。昔の戦後から高度経済成長を経てバブル期ぐらいまでの日本は、欧米など目指すべきものがありました。自分達で考えなくても、どうすれば勝てるのか、勝ちパターンがわかっていました。
だから、仕事で成果をあげるために必要なことは創造性というよりは、努力と根性です。行くべき方向、なすべき方法は決まっているのですから、あとはそれを他人よりもどれだけたくさん、早く、ちゃんとできるかが勝負です。こんなとき、挫折経験を経ている人は強い。あの挫折をもう二度と味わいたくないと、負けてなるものかと頑張れます。
 

負けることができない「挫折経験者」

ところが、今はもう勝ちパターンがわかりきっているというような仕事は多くありません。試行錯誤を繰り返して勝ちパターンを見つけることから始まる仕事が増えています。こういう仕事において、挫折経験からくる「勝ちたい」人が昔のように勝てるのかというとそうはいきません。
彼らは負けたくないから、承認欲求を満たしたいから頑張るわけですが、勝ちパターンが決まっていない仕事では、何度も負け続けなくてはなりません。そうしているうちに、負け続けることに耐えられなくなって、「失敗が怖い」「もうやりたくない」となるのです。せっかく「あの挫折」から抜け出したのに、もう情けない境遇に自分の身を置きたくないということです。このように、今は必ずしも「挫折経験のある人が強い」とは言えません。


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