OCEANS

SHARE

ここでさらに生徒たちに議論をさせると、いよいよ本音が出てくる。このゲームが「考え、議論する道徳」に適していると感じたのはこの部分である。
誰もが頭だけでわかり切った意見を言いがちで空疎になりがちな議論を、生徒の現実にあるリアルなライブ空間に引き戻せるのだ。
 

狙いどおりの効果を得られた

授業を受けた生徒の感想には「普段スマホを使用していて、授業で炎上に触れることができ、実際の話となり、ためになった」「自分たちの実際の生活から考え、炎上させる側、させられる側の気持ちが考えられた」というものがあった。まさしく狙いどおりの効果を得られた証だった。

授業を行った教師も「道徳の授業は、なかなか本音と建前の意見の相違で苦しむことがあるが、今回の教材からは本音の意見や議論を引き出しやすい」という感想が出た。ゲームのやり方や説明をもっと簡素化できると、さらに教材化として有効だろうという意見もあった。
また、授業を参観した保護者は、「ネットの炎上が授業の素材になることにビックリしたが、こうしたことを学べてありがたい。子供たちは楽しく学べていて良かった」と述べている。本校の取り組みは関心を集め、いくつかの学校から問い合わせがあった。その際、筆者はこう伝えた。「日頃から安易な禁止制限だけに走らず、情報モラル・リテラシー教育に関心を持ち、指導をしておかないと下手に炎上体験を誘発することになりかねない」。
要するに、このゲームや道徳をするだけでは意味がないということである。


4/4

次の記事を読み込んでいます。