“レス”に責任を感じなくていい。しかしセックスにはメリットも
30代後半の男性にとって、妻とのセックスのハードルが高くなるのは、むしろ避けられないことだろう。であれば今後、40代以降における夫婦間でのセックスをどう考えるべきなのか。
「大切な認識として、一般的にセックスは年齢とともに無くなっていくものです。それは生物学的にも心理学的にも説明がつきますし、むしろ当然のこと。基本的に『好き』という感情は『愛情』になり、次第に『情』へと変化しますから。セックスレスであることを『悪』だと考えたり、変にプレッシャーを感じたりする必要はありません」。
世の中には「夫婦間のセックスがなければいけない」と考える人は多い。だが、「そこにあまり執着する必要はない」と山名氏。むしろ罪悪感からくるプレッシャーで、男性が過度に「しなければいけない」と思うと、「いざという時に勃起不全になるなど、より悪い結果につながります」と付け加える。
統計から考えても、40代のセックスレスは半数を超えるのだから、むしろセックスレスになるのは一般的ともいえる。男性たちは、肩の荷を下ろして良いのかもしれない。
「ただし、夫婦間でのセックスがさまざまなメリットを生むことも事実です。夫婦関係の良化だけでなく、子育てへの影響も無視できないでしょう。さらに、良好な夫婦関係を築くことができれば、飲み会やお金の使い方などにおいて、『妻の許す範囲』が広くなる可能性もありますよ」。
40代からの性生活。頭ごなしに、夫婦のセックスレスを「悪」と捉える必要はない。無理はしなくて良いのだ。ただ、セックスがもたらす“効果”もある。むしろそれを知れば、義務ではない、お互いが望むセックスが生まれるかもしれない。
次回、セックスが夫婦にもたらすメリットを聞きながら、「セックスレスとの向き合い方」を考える。
有井太郎=取材・文
【Profile】 山名裕子 1986年5月7日、静岡県生まれ。臨床心理士。「やまな mental care office」を東京青山に開設。心の専門家としてストレスケアからビジネス、恋愛などあらゆる悩みへのカウンセリングを行っている。まだカウンセリングに対する偏見の多い日本で、その大切さを伝えるためにメディア出演や講演会活動を行う。日本テレビ「ナカイの窓」では心理分析集団「ココロジスト」を務める。新書に『読むと心がラクになる めんどくさい女子の説明書』(サンマーク出版)がある。