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2018.04.04

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男女の思考の違いを学べる。マンガ『喰う寝るふたり 住むふたり』

「大人のCOMIC TRIP」を最初から読む
ときに、女心は複雑なものである。長年連れ合ってきた夫婦の間でも、どうしても理解できないことは少なくないだろう。「あのとき、どうしてあんなに不機嫌だったのか」「なぜあんな態度をとったのか」と、後から思い出しても不可解なことが山積みだ。
そんな男女のすれ違いはなぜ起こるのか……理解のヒントになるのが『喰う寝るふたり 住むふたり』(日暮キノコ/徳間書店)である。
『喰う寝るふたり 住むふたり』(日暮キノコ/徳間書店)
本作は、交際10年、同棲生活8年目を迎える、町田りつ子と野々山修一のふたりを主人公に据えたラブコメ。2014年には小西真奈美と金子ノブアキの主演で、実写ドラマ化もされた作品だ。
最大の特徴は、彼らの日常生活を男女双方の視点から描いている点。一つひとつのエピソードは些細なものばかりだが、それらを「男性側の解釈」「女性側の解釈」で描いているため、非常に奥行きがあり、その違いが如実に浮き彫りになるのだ。
例えば、同棲8年目を迎える彼らが結婚に踏み出さないのはなぜなのか。それは、りつ子が「まだプロポーズされていない」と思い込んでいるから。修一はクリスマスに指輪をプレゼントしており、その際に「結婚したい」ということを匂わせているのだが、肝心のりつ子にはその声が聞こえていなかったのだ。それが発覚し、「どうして話を聞いていないんだ……」と不機嫌になる修一。もちろん、修一が急に不機嫌になった原因のわからないりつ子も苛立ちを隠せない。
本作にはこのようなエピソードが満載だ。そこで学べるのが、「どんなに仲のいいふたりであっても、生活をともにすればどうしたってすれ違ってしまう」ということ。修一のように「自分はしたつもり」であっても、それが伝わっていないことはままある。もちろん、その逆もしかり。そのとき、相手を責めるのではなく、ちょっとだけ視点を変えてみれば、原因なんて些細なものだったことが明らかになるかもしれない。特に、マイペースな修一と勝ち気なりつ子という、一見正反対なふたりの生活からは、それが如実に浮き彫りになるはずだ。
日常生活において、急に妻が不機嫌になってしまった……。まさにそんなときは、本作のいずれかのエピソードがヒントになるだろう。相手の行動にどんな理由や意味があるのか、男がいくら考えてもたどり着けない“解”に、膝を打つことも多い。その意味で本作は、悩める夫婦の“心のバイブル”という捉え方ができそうだ。
文=五十嵐 大
83年生まれの編集者・ライター。エンタメ系媒体でインタビューを中心に活動。『このマンガがすごい!2018』では選者も担当。


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